いよいよ入試本番!昨年10月の箱根駅伝予選会などで東大記録を連発する秋吉拓真さん(理I・2年)に、自身の受験や東大での生活について語ってもらった。可能性にあふれた東大生活を想像し、東大で活躍するイメージを持って、全力を出し切ってほしい。 (取材・川北祐梨子)
──陸上運動部・長距離パートでの活動内容について教えてください
週3回、駒場Iキャンパスの第一グラウンドで全体練習をしています。1時間ほど各自でアップを行った後、メインの練習をします。これは1時間弱で、曜日ごとにペース走(試合よりペースを落として長く走る)やジョギング、インターバルトレーニングを行います。最後にダウンを行います。練習のない日の過ごし方は各自に任されていて、私は20キロメートルほどジョギングを行うようにしています。
──長距離走競技での現在の手ごたえをお聞かせください
自分が成長曲線の途中にいると感じます。受験期のブランクを経て記録が伸び悩む時期もありましたが、1年次の夏の合宿のレースで自信を取り戻し、昨年11月には5000メートルで13分台、10000メートルで28分台の記録を出すことができました。これは長距離選手にとって一つの大きな到達点といえるタイムであると同時に東大記録でもあり、達成できたことは大きいです。大学では東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)に出場することを目標に据えていましたが、10月の予選会の結果(全体54位。例年結成される関東学生連合チームへの選出に相当する結果)から、目標を上方修正しています。新たな目標は、10000メートルで27分台を出し、箱根駅伝で区間賞を狙えるようなレベルで戦うことです。この冬は、けがをせず練習を積んで、しっかりレベルアップしていきたいと思います。
──続いて、受験期について教えてください。高校時代、 陸上部に所属し勉強時間が少ない中、どのように部活と勉強を両立したのでしょうか
まず前提として、高校生には、運動も勉強も両方できるようになるだけの時間がしっかりあると思います。しかし時間が限られているのも事実。そこで私は、陸上でも勉強でも、質を意識して練習・学習しました。質を高めれば、量をこなしている人にも匹敵する力を付けられるはずです。効率を上げて勉強の質を高めるため、私は「集中できるときにしか勉強しない」ことを心掛けていました。睡眠時間を最低6時間は取り、その上で昼や部活後などで眠気があるときには仮眠をとる。勉強時間を削ってでも睡眠時間を取るようにしていました。
──陸上部を引退した後、受験勉強へとどのように切り替えたのでしょうか
切り替えられた自信はありません(笑)。勉強だけする生活が苦痛で、3時間おきに塾の自習室を出てダッシュしたり、学校の休み時間も野球をしたりと息抜きをしていました。その苦しい中でも頑張れたのは、長距離で培った粘り強さのおかげかもしれません。
──東大で陸上に取り組むことを考えている高校生に向けて、東大陸上運動部のイチ押しポイントを教えてください
まず陸上競技に本格的に取り組もうとしている方に向けて言うと、今、陸上部長距離パートは東大史上最も強いと言い切れます。学部生にも院生にも速い選手がいて、強豪校に劣らず、高いレベルで切磋琢磨(せっさたくま)することができる場です。 また、大学から陸上を始めたい方や、いろいろなレベルの部活の経験者の方に向けて言うと、陸上部には幅広いレベルの人がいるので、同じくらいのレベルの選手を見つけて楽しく練習をすることができます。(どんなレ ベルの方であっても)陸上をする方には勧めたい、申し 分ない環境です。
──受験生へのメッセージをお願いします
大学では自分の好きなことに好きな配分で取り組むことができます。自分の時間を何に使うか、決められるのです。受験勉強は、結果が合否の二択で出てしまうつらい世界だと思いますが、そこを乗り越えれば、自由な世界が待っています。頑張ってください。 そして、東大に合格された暁には、陸上部の長距離パートにお越しください!