東大は3月1日、昨年発表した女性リーダー育成施策「UTokyo 男女⁺協働改革 #WeChange」の実施を宣言し、ビジョンを議論するシンポジウムを開催した。シンポジウムは2部構成で実施。第1部では藤井輝夫総長と佐々木泰子お茶の水女子大学長がグローバルリーダーの育成について対談し、東大での「ダイバーシティ推進センター」(仮称)の設立など、両大学で今後行う取り組みについて述べた。第2部では学部生や副学長などが登壇し、パネルディスカッションを展開。2027年度までに女性教授・准教授を約300人採用する計画にちなみ、「数のパワー」を取り上げた。
開会の挨拶では、林香里理事・副学長が東大の中のジェンダーに関する意識改革への意志を示したいと説明した。吉江尚子副学長・男女共同参画室長は事業趣旨を説明。鳥居啓子教授(米テキサス大学)もオンラインで登壇し、女性を雇用し「異なる視点や考え方を持つ人が集まることでイノベーションが生まれる」と、激励の言葉を送った。
第1部では、エッセイストの小島慶子さん(東大大学院情報学環客員研究員)の司会の下、藤井輝夫総長と佐々木学長が対話した。東大とお茶の水女子大学はプログラムの共有や教員のクロス・アポイントメント(双方の大学の身分の下で研究教育活動に当たる制度)など包括的な協力の実現を目指しており、佐々木学長は具体的な授業や部局を定めて計画が進んでいることを明かした。藤井総長は、多様性に基づく研究と教育の拠点「ダイバーシティ推進センター」(仮称)の再来年までの設立を目指していると明言した。
第2部では、吉江男女共同参画室長の司会で、さまざまな立場の5人の登壇者が、自らの経験談を交えつつ数のパワーについて語った。NPO法人グッド・エイジング・エールズ代表の松中権さんは、マジョリティが声を上げることの重要性とマイノリティの存在を周縁化しないことの重要性を強調。それぞれの登壇者は大学や男女共同参画室に多様性や包摂性の推進に向けた提案も行った。
東大執行部はシンポジウム後に記者団の取材に応じ、林理事・副学長はLGBTQに関するガイドラインを作成中であることを東京大学新聞社の取材に対して明かした。
「UTokyo 男女⁺協働改革 #WeChange」は多様性の尊重と包摂性の推進をうたった「東京大学 ダイバーシティ&インクルージョン宣言」に基づき、東大が昨年11月に制定。構成員の意識改革や女性研究者のキャリア支援、女性教員の雇用といった三つの取り組みからなる。
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