就活では多くの企業を見た上で進路を選択することが重要だ。今回はさまざまな業界の6社に取材をし、卒業生には現在の業務内容や就活のポイント、採用担当者には企業の魅力や求める人物像について聞いた。さらに、今年で東日本大震災の発生から10年となることを踏まえ、一部当時の体験についても語ってもらった。
(取材・山崎聖乃)
河北新報社
視野を広げて
一昨年度から仙台市にある本社の報道部経済取材班に所属。2年間は主に金融機関を担当し今年度からは製造業の担当に。製造業の景気の様子や新しい取り組みなどについて、中小企業の経営者や幹部を中心に取材し記事にする。
取材相手が答えにくい質問もしなければならないなど大変さはあるが、苦労の分やりがいも大きい。「取材相手にうまくまとめてくれたねと言われたり、読者から反響があったりすると嬉しいです」
中学生頃から文章を書いて人に伝える仕事をしたいと感じていた。大学2年生の時に卒業後は新聞社に就職したいと考え、幅広い分野を学ぶために教養学部に進学。就活は新聞社に絞って行った。
出身地は埼玉県。地方紙にはなじみがなかったが、新聞社について調べていく中で町の人に同じ目線で話を聞き、伝えることのできる地方紙に興味を持った。大学時代に所属していた自転車サークルで地方を旅し、日本にはさまざまな場所や人が存在すると感じたことも、地方で就活をする大きな理由となった。
東日本大震災から3年後の2014年に河北新報社に入社。震災関連の業務に関われることが入社の決め手となったわけではない。面接を振り返って、震災に関連しない質問も多くされたことなどから「会社側も多様な背景の人材を求めていたのではないでしょうか」。福島県での3年間の勤務も経た今では、震災の記憶を被災経験のない人々にも伝えるためには、震災を直接経験していない自分のような立場の人が発信することも重要と感じるようになった。
就活で気を付けたことは、自分のやりたいことをぶらさずに伝えること。「色々な先生と対話して、色々な考え方を持ってください。サークルや読書などを通して視野を広く持つことも、就活にも、社会に出てからも大切です」
【人事の声】
共に働きたいかどうか
河北新報は東北地方最大の新聞発行部数を誇ります。東北で新聞といえば河北新報を思い浮かべていただけるのが強みであり、その期待に応えるべく奮闘しています。
報道機関は命と人権に関わる出来事を伝えることを最重視します。新聞社で働く意義を東日本大震災により強く再認識させられました。現在でもご遺骨の身元がDNA鑑定によって判明するなどのニュースが年に数回あります。震災は10年前の出来事ではなく、現在進行形の出来事として今なお目の前にあります。
面接担当者にはいつも「一緒に仕事をしたいと思えるか」「すごいと思えることがあるか」「失敗しても伸ばしていけそうか」を見るよう伝えています。問題意識を持ち、その解決のために自分がするべきことを考えてください。そのための手段が新聞であるなら、ぜひこの業界を選択肢に入れてほしいです。(談・加賀山仁さん、社長室企画委員)