就活では多くの企業を見た上で進路を選択することが重要だ。今回はさまざまな業界の6社に取材をし、卒業生には現在の業務内容や就活のポイント、採用担当者には企業の魅力や求める人物像について聞いた。さらに、今年で東日本大震災の発生から10年となることを踏まえ、一部当時の体験についても語ってもらった。
(取材・鈴木茉衣)
三菱UFJ銀行
何を成す人生にするか
顧客企業、産業の調査とコンサルティングを中心に担うリサーチ&アドバイザリー本部戦略調査部に所属。融資に際し業界全体の調査を行うことで、銀行には業界の将来性についての見識が蓄積される。西川さんはその見識を基に、顧客へのコンサルティングでどのような提案をするか、また組織としてどのような調査を行うか立案する。
100人ほどの部全体をまとめるのには苦労もあるが、顧客に受け入れられる提案や意義のある調査の戦略を練る仕事は刺激的で、やりがいを感じている。「コンサルティングは銀行としては比較的新しい業務です。仕事の中で金融のみならず多様な分野に関わることで、お客様に産業の将来について興味を持ってもらえるような提案ができるようになります」
学生時代を振り返り「大学時代の勉強は仕事の役に立ちます」と語る。藤本隆宏教授の授業で学んだ「自動車産業は情報産業である」という考え方は特に印象的で、自動車メーカーの担当者との会話では授業の話題で盛り上がったことも。アカデミックな見識が仕事に活きているからこそ「今、学生だったらもっと勉強する」と当時を回想する。また、学生時代に起業や留学など、多少リスクがあってもチャレンジをしておくべきとも語った。
就活は初めから金融業界に絞り、最初に内定をもらえたところに就職しようと考えていた。「遠くない業種同士なら、就職先で迷っても結果はあまり変わらないので、最初から決めていたのは良かったと思います。迷うほど後悔も大きくなります」。東大生にも「就活を深刻に考え過ぎないで」と呼び掛ける。「出身大学より実力が重視される今だからこそ、就職先のステータスを気にせずに人生で何がしたいかを広く考えられるということに気付いてほしいです」
【人事の声】
好奇心と変革への意欲
融資はもちろん、日本最大規模かつさまざまな国のお客様から得る膨大な情報を社会に還元することも一つのテーマです。得られた情報を基にお客様同士を結び付けて新しいビジネスへつなげています。
銀行には社会のインフラとしての役割もあります。例えば東日本大震災の際は、まず一刻も早い支店の再開を目指し、その後は復興支援や地方創生に携わりました。新型コロナウイルス感染症流行にも当てはまるかもしれませんが、銀行は有事の時こそ、不測の事態だけを理由にお客様が事業や夢を諦めずに済むよう支援を行うべき存在だと思います。
銀行も今は変革の時期です。新しいことに積極的に取り組む、変化に強い人が生き残ると思います。好奇心と貪欲な学びによって、既存の枠組みの刷新だけでなく新しい枠組み自体を作っていってほしいです。(談・文珠四郎豊さん、人事部採用・キャリアGr.)