就活では多くの企業を見た上で進路を選択することが重要だ。今回はさまざまな業界の6社に取材をし、卒業生には現在の業務内容や就活のポイント、採用担当者には企業の魅力や求める人物像について聞いた。さらに、今年で東日本大震災の発生から10年となることを踏まえ、一部当時の体験についても語ってもらった。
(取材・黒田光太郎)
宮城県庁
末永く納得できる動機を
宮城県職員ではあるが、今は経済産業省に出向している。出向先では、当初宮城県を含めた被災地の企業に対する設備投資補助金の企画や運営を担当。現在はそれに加え、全国の企業に対する新型コロナウイルス感染症関連経済対策設備投資補助金の担当も兼務している。宮城県は東北最大の都市である仙台市を有し、首都圏にも近い。そのため宮城県庁の人材は多様で、開放的な雰囲気だという。
大学時代を振り返り「東大の前期教養課程での学びは今にも生きています」と有海さん。専門外の分野に対する知見も広く浅くでも身に付けておくことは大切だと語る。「そうした教養がちょっとした問題の手掛かりとなるかもしれません」。経済学部での学びも役に立っている。例えば、今の仕事において企業の行動を予測する際には、学生時代に学んだ知識を使う。
一方で、プレゼンテーションの練習を積極的にすれば良かったと後悔している。社会人としての仕事は一人では完結しないため、自分の希望を的確に伝え、相手を動かすスキルが必要だからだ。さらに「学生時代は比較的時間に余裕があるので、ぜひ自分が興味を持つことを突き詰めてほしい」と勧める。
宮城県で働こうと決めたきっかけは東日本大震災。出身は同じ東北で、東北の復興には人生を懸けても良いと思えた。就活生には「末永く納得できる動機」に基づいて就職先を決めてほしいと語る。「自分が何をしたいかを客観的に考えることが必要だと思います」。徹底した自己分析に基づき、自分の譲れないことを定めることが大切だという。
最後にこれから就活を控える学生へメッセージをもらった。「私が就活をしていた頃も雇用状況は良くありませんでした。難しい状況下ですが、やるべきことは変わらないので、とことん納得のいく就活をしてください」
【人事の声】
宮城県に刺激を
県庁の仕事は本当に多岐にわたるのですが、宮城県では、研究開発拠点などの集積に向けた次世代型放射光施設の整備の他、子育て支援などに特に注力しています。国や市町村では経験できないような地域密着型で規模の大きい事業に携われることが魅力です。
さらに陸海空の交通網が整備され、東京からのアクセスに優れており、気候も良く、住みやすいことも宮城の良さです。
本県では、仙台空港の民営化や広域防災拠点の新設など、震災からの復旧にとどまらない抜本的な再構築となる「創造的復興」に取り組んでおり、前例のない挑戦をしているため、職員は「やればできる」という気持ちを持つことができています。
今後は多様な主体との連携、協働が重要です。コミュニケーション力や柔軟性を持ちつつ、さまざまな活動で得た経験を生かして宮城県に刺激を与えられる人に来てほしいですね。(談・武山和広さん、総務部人事課)
【記事修正】2021年2月12日19時4分 筆者名を修正しました。