就活では多くの業界・企業を見た上で進路を選択することが重要だ。しかし多種多様な仕事について、社会人の話を直接聞ける機会は多くない。そこで今回は幅広い業界から五つの企業を訪問。東大出身者に仕事の内容ややりがい、就活時の経験などについて聞いた。インターネット上の情報だけでは知ることができない、業界や企業の魅力や実態を知って進路選択の参考にしてほしい。(構成、取材・石橋咲)
Profile
- 新卒入社
- 5年目
- 学部卒
- 理系
社員の優秀さと意外な人間味が魅力
外資系総合コンサルティング企業、アクセンチュアのテクノロジーコンサルティング本部に所属する宮本さん。アプリやシステム、ITサービスには基盤となる仕組みがあるが、それらを構築するためのコンサルティングを担当している。例えば、自治体を顧客として、スマートシティ化の基盤となるシステムを導入する案件などだ。学生時代、ITの知識は統計分析にプログラミングツールを使う程度だったが、入社してから専門知識を身に付けた。AIやメタバースなど、新しい技術は目まぐるしく進化しているため常に勉強し、新しい技術をうまく活用する方法を考えなければならないという。「無理難題だと思いながらも、とても楽しくやりがいを感じます」
「人が好き」で入社を決めた宮本さん。社員の一人一人が秀でた専門家であり、プロジェクトでは複数の組織から各方面のエキスパートが集まり、一つのゴールに向かって一致団結して仕事をする。専門領域の数が多いため、多方面の課題を解決可能だ。さらに、和気あいあいとした雰囲気があるといい、交流の機会も多い。「仕事外の付き合いも楽しいというのは入社前の想像と違いましたね」
若い社員が多く、来年度で6年目になる宮本さんも管理職として人を束ねる役目が増えていくという。己の研さんだけでなく、チームを巻き込んで一緒に高め合える環境を作るのが目標だ。
学生時代は農学部農業・資源経済学専修でスーパーから提供された米の購買データを分析する研究をしていた。より発展的な研究をしたいと、アクセンチュアの内定が出るまで院進か就職かで迷っていたという。研究内容は現在の仕事に直接役立つわけではないが、「課題を設定してそれを解く思考プロセスはコンサルティングの仕事と似ているので、研究が好きな人はこの業界に親和性があるかと思います」。大学時代にはイベントの企画にもオリ長やコンパ長として積極的に携わった。その経験は現在、飲み会の企画からプロジェクトの進行にまで生かされている。
企業情報はインターネットでも得られるが、社員の話を直接聞く機会を大切にしてほしいという。「直接話すことで、意外な印象が得られるかもしれません。就活時はさまざまな企業が事業内容を丁寧に教えてくれるまたとない機会なので就活生の立場を利用していろいろな業界について知見を深めてください」