学術ニュース

2014年9月25日

暴力的ゲーム 長期に影響 総合文化・開教授ら

開一夫教授(総合文化研究科)らは、暴力的なテレビゲームで遊ぶことが、他人の表情を認知する脳活動に、長期にわたる遅延を生じさせると明らかにした。攻撃性の増大には影響を与えるが、短期間しか続かないことも示唆された。研究成果は9日付の米科学誌『サイコロジー』(電子版)に掲載された。

暴力的なテレビゲームがもたらす影響については、これまでも国内外で研究が行われてきた。質問紙を用いるのが主流で、社会的に重要な長期的影響や持続期間は未解明だったという。

開教授らは今回、テレビゲームで1カ月遊んだ成人に対し、遊ぶ前、遊び終えてから1週間以内、3カ月後の計3回にわたって脳波測定を実施。脳波から、他人の表情を認識するのにかかる時間を分析した。質問紙調査も実施し、攻撃性の変化を調べた。

暴力的なテレビゲームで遊んだ成人は、特に他人が怒っていると認識するのに時間がかかった。この影響は3カ月後にも保持された。攻撃性は、成人男性のみ暴力的なゲーム終了直後に増大していたが、3カ月後には遊ぶ前の水準に戻っていた。表情認識の遅延と攻撃性の変化には、相関関係が見られなかったという。

本研究で、暴力的なテレビゲームが表情認識に与える影響は長期的である一方、攻撃性に与える影響は短期的だと示唆された。テレビゲームの遊び方や内容、遊ぶ年齢層は多様化しており、複数の要因が互いに影響する状況についての今後の研究が期待される。

(文 編集部)

この記事は、2014年9月23日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナル記事を掲載しています。

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