「長期インターンシップの良さを広めていきたい。そう思ってこの会社を立ち上げました」。そう語るのは、株式会社Buildsの代表取締役社長、橋本竜一さんだ。
Buildsは長期インターンシップや新卒採用において東大生などレベルの高い学生と企業をマッチングするサイト「JobShot」を運営している。長期インターンシップとは、長期休暇中に学生が数日から一週間ほど就業体験をする通常のインターンシップとは違い、主にベンチャー企業で数か月以上にわたって実務に携わりながら働くことだ。
橋本さんも、大学2年のときに広告代理店のベンチャー企業で1年ほどの長期インターンシップを経験した。「家庭教師とかのアルバイトは、別に僕がやらなくてもいい。長期インターンシップは自分で知識を得られる上、お金までもらえるなんて、すごくいいじゃないですか」と橋本さんは語る。
こうして長期インターンシップの楽しさに気づいた橋本さん。長期インターンシップを始めた当初から起業を意識していたわけではなかったという。しかし、一度は就活に失敗した友人が長期インターンシップを経て就活で成功を収めた姿を見て、もっと多くの人に長期インターンシップについて知ってもらおうと知人や後輩たちを誘ってマッチングイベントを開催。参加者からの「長期インターンシップを経て人生が変わりました」というコメントに手応えを感じた橋本さんは起業を決意した。
橋本さんにとって、起業は比較的身近なことだった。東大入学後のクラスには起業した人が5人もいる。起業するための十分な資金、システムの整備をしてくれる友人もそろっていた。ただ、創業当初は苦労もあった。「特に苦労したのは人ですね」と語るのは、広報を担当する執行役員の伊澤航太郎さんだ。「方向性の違いや就職のために会社を離れた人は20~30人はいますね。会社のビジョンに共感してもらえる人を集めるのが難しかったです」。社員にとっては「企業と文化が合うのか」が重要なことを痛感した。
この経験はJobShotのサービスにも生かされている。例えば、恋愛経験の有無を尋ねる項目。一見必要性がなさそうだが、異性が多い職場の方が働きやすいのか、そうでないのかを判断する一つの基準になるという。
現在、JobShotには40社以上の企業と1500人以上の学生が登録し、事業は順調だ。今後は、学生向けの事業にとどまらず、まだ働く意欲があるシニア層向けに就業の場を提供する事業も始める方針だという。また、東京だけでなく関西や北海道での事業展開も考えている。
攻めの姿勢を貫くことに不安はないのか。橋本さんに聞くと「不安はもちろんありますよ」。ただ「絶対に成功するという自信があります。不安を解消するためには突き進むしかないですね」
この記事は2019年8月27日号からの転載です。弊紙では他にもオリジナル記事を公開しています。
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