データサイエンスで世界を理解する
自分で論文を書くとき「こんな分析がしたい」と思うものの、データ分析などしたことがなく、どうしていいか分からないという人も多いのではないだろうか。そのような学生の救世主となるサークルがある。UTT Data(東京大学データサイエンス研究会)だ。データサイエンスという学問分野は文系学生には特に敬遠されがちだが、そうした学生も多様な仲間と共にデータ分析を学んでいける場を作ることを目標にするサークルである。
昨年の4月に本格的に活動を始めたUTT Dataでは、学生の興味により4、5人程度の分会に分かれ、それぞれのテーマについて学びを深めていく。テーマは多岐にわたる。統計、計量経済、統計哲学そしてジェンダー問題に至るまで文理問わずさまざまな分野についてそれぞれの分会が取り組んでいる。活動頻度は分会によって異なるが多くの場合、週に1回程度。分会での勉強会の他に3カ月に1回、全体会として各分会の活動について全体で共有する機会もある。
データサイエンスの魅力とは?
代表の廣瀬寛太さん(経・3年)は、データサイエンスの魅力を「感覚で捉えていたものを理論で理解できるのが一番の魅力ですね」と語る。「中国の年度別米生産量に関するデータを分析したときに予想と違う結果が出てきて、データ分析を面白く感じました」。メンバーの村上将隆さん(法・4年)は「学童保育の分布を目で見て分かるようにしたときは面白いと思いました」と笑顔で話す。
結果も出ている。昨年行われた総務省などが主催する「統計データ分析コンペティション 2020」では依田浩実さん(法・4年)ら4人が執筆した「マルチレベル分析による高齢者の社会参加と医療費の関係についての考察」という論文で大学生・一般の部の特別賞(審査員奨励)を受賞した。メンバーのレベルの高さには脱帽してしまう。
ハイレベルなサークルであると思い、腰が引けてしまう学生もご安心を。統計検定2級程度(東大の前期教養課程で開講されている「基礎統計」で学ぶ程度の難易度)の統計学とプログラミング言語「R」の基本操作を初心者に対して教える機会も設けている。学年問わず、学生同士で協力し、学問を探究するのがUTT Dataの醍醐味である。取り組むテーマの難易度も分会によりさまざまで自分に合ったものを適切な速度で学ぶことが出来る。
文系学生にデータサイエンスを広めることをUTT Dataの目的としているが、実際は理系学生も所属している。「多様な学生がいるからこそ、ここでの出会いは知的好奇心を刺激してくれます」と廣瀬さんは語る。穏やかながらもやる気に満ちた学生と共に学びを深めるのはいかがだろうか。(黒田光太郎)
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