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2019年10月10日

東大ガールズハッカソン2019  「アプリ開発、ほぼ初心者だった私の挑戦」

 プログラミングをゼロから学べる、東大女子を対象としたアプリケーション開発コンテスト「東大ガーズルハッカソン2019」の本番が、9月20日、21日にSCSK社多摩オフィスで開催された。ハッカソン(hackathon)とは、一定の期間でプログラムの開発などを集中的に行い、チームごとでアイデアや成果を競う催しだ。プログラムの作成を意味するハック(hack)と、マラソン(marathon)に語源を有する。昨年に続き、今年も活気に満ちたイベントとなった。

(取材・撮影 麻生季邦)

 

 

 本イベントは東大の女子学生に楽しみながらハッカソンに参加してもらい、プログラミングを身近に感じてもらうことを目的として東京大学新聞社が主催。参加したのは学部生23人と、院生6人の計29人(うち理系24人、文系5人)で、参加者の多くが事前アンケートには「(プログラミング経験)なし」または「授業で触ったことがある」と答える程度のプログラミング初心者だった。学生は2〜4人で構成されるチームを組み、開発に取り組んだ。

 

 参加者は8〜9月に、ハッカソンに先立って、プログラミングの基礎を学んだ。参加者はSCSK社豊洲オフィスで行われた講習や、プログラミング学習サービスProgateを利用したJavaの講習・自学を通し、アプリ制作には欠かせないプログラミングの知識を身に付けた。

 

 9月14日に新宿のLINE本社で開かれたアイデアソンでは、各チーム2〜3人のメンターと顔合わせ。メンターとは、技術やアイデアについて助言する役割を担う人を指し、このイベントでは協賛企業社員が指導に当たった。運営より、アプリの開発にあたっては「×(掛ける・組み合わせる・multiply)」というテーマが設定された。テーマに従い参加者らは「タピオカ×ミルクティー」のように「二つ以上の要素を組み合わせることで、さらなる魅力を発揮する」アプリの開発を目指した。各チームはアイデアを掛け合わせ、現実でそのアイデアを生かすにはどうすべきか検討を重ねた。

 

 アイデアソンから1週間後の9月20日、21日、ハッカソンは本番を迎えた。2日間で計14時間の中、参加者らはアプリ制作と発表の準備を終えねばならない。チームごとに進行の雰囲気はまちまちだが、学生同士が気さくに意見交換をする場面もあれば、経験豊富なメンターのアドバイスや指導が参加者を力強く導く場面も。どのチームも学生とメンターが積極的にコミュニケーションを取る。そこには、短時間でもより良いアプリを作ろうという熱意が感じられた。

 

 

 2日目の昼食後は、発表準備が中心に。早めに発表準備に移るチームや、最後まで開発に注力するチーム。各チーム参加者の真剣さは増しつつ、肩を寄せ合って議論しユーモアも交え話す中には、時折和やかな空気も流れた。1日目と2日目の間は泊まり込みで開発したこともあり、親睦が深まっていた。

 

 

 開発終了後、2日目の夕方には発表会が開始。計9チームの発表を、各協賛企業から選出された審査員が評価する。単にアプリの内容だけでなく発表の上手さも評価に含まれ、各チームの事前に用意した工夫が発表を輝かせた。典型的な女子大生の生活を、チームメンバーの一人がセリフ交じりに熱演する場面も。3分間の発表の後は、3分間の質疑応答。質疑応答では、審査員はもちろん他の参加者やメンターからも質問が飛ぶ。チーム「28℃」が開発した、スマホの使用時間を管理しスマホ依存から抜け出すアプリ「smile」に対しては「ユーザーにとって使用が煩わしいものにならないか。どうすればユーザーが楽しく使えるかを盛り込めるとさらに良い」といったアドバイスが投げられた。

 

 

 全てのチームの発表が終わると、審査を経て、各協賛企業9社から企業賞が授与された。企業賞を二つ授与されるなど高く評価されたアプリの一つが、チーム「抹茶タピオカ」の「MACHI」。女子大生などが引っ越す際に自分が住みやすい街を探せるアプリで、「おしゃれなカフェが近くにある」や「パチンコ店が近くにない」など自らが好む要素や嫌う要素を入力することで、地図上に地区ごとのおすすめ度合いが可視化される。引っ越しというタイミングのみに使用が限定されるが、対象ユーザーから強く求められる機能を備えていた点も、審査員には評価された。

 

 発表会後の懇親会では緊張も解け、アイデアソンとハッカソンの計3日間を共に戦った学生とメンターがイベントの成果をたたえあった。学習期間やチームでの開発時間はごく短かったものの、参加者にとって大きな意義のある大会になったのではないか。

 

 今後の彼女らの活躍に期待だ。

 

最優秀受賞チーム「抹茶タピオカ」メンバーの感想

 

 

・内川真帆さん(学際情報学府・修士2年)

 アプリ開発では色をピンク中心にするなど、女性が使いやすいデザインを心掛けました。

 

 プログラミングは、これまで自分では大学の研究でデータ分析に使うことが主で、ものづくりに生かすのは初めての経験でした。Javaを触るのは初めてで、ちょっとコードを変更するだけでもすごく時間がかかりました。ハッカソンにも興味があったのですが、ハードルが高いと感じて参加をためらっていました。ただ、今回のイベントは初心者でも参加がOKということで気軽に申し込めました。

 

 プレゼンやパワーポイントの効果的な使用法など、メンターの方に指導いただいたことが今後にも生きてくると思います。

 

・市本沙哉香さん(理I・1年)

 アプリ開発では勤務地や家賃といった客観的なデータよりも、ユーザーの個人的なこだわりに基づいて街を探せるよう工夫しました。「MACHI」を使うことで近くにおしゃれなカフェがある地域とか、パチンコ店がない地域といった条件でも探せます。

 

 高校同期から教えてもらって参加しました。入学して間もないですが、貴重な機会だったと思います。未経験の人が新しくプログラミングに挑戦するのは難しいかもしれませんが、これを機に自分でも勉強したいですね。

 

・嶋村綾さん(文Ⅲ・2年)

 アプリ開発では実際に住んでいる人の口コミを重要視しました。いざ引っ越すときに本当に頼りになる情報は案外身近になく、どんな街に住むのが良いかわからないという認識が元々ありました。

 

 自分ではなかなかプログラミングの学習に踏み出せないものです。今回のような機会があるおかげで少しでも学ぶことができました。メンターの方々はslackで質問をするとすぐに快く答えてくださり、支えられました。

 

 自分の周りで、プログラミングが自らの専門でない人も、経験している人が結構います。ハッカソンは通常男性が多いイメージですが、あくまで東大女子に限った今回のイベントは参加しやすかったです。将来必ずしも情報系に進まずとも、今後もProgateなどで自学できればと思います。

 

 

 

 

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