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2018年10月29日

東大ガールズハッカソン2018 「プログラミング以上のものを学べた」

 プログラミングをゼロから学べる、東大女子を対象としたアプリケーション開発コンテスト「東大ガールズハッカソン2018」の本番が、10月6、7日に日本ビジネスシステムズ本社で開催された。ハッカソン(hackathon)とは、一定の短期間でプログラムの開発などを行い、アイデアや成果を競うもの。プログラムの作成を意味するハック(hack)と、マラソン(marathon)に語源を有する。

 

 

 本イベントは東大の女子学生に楽しみながらハッカソンに参加してもらい、プログラミングを身近に感じてもらうことを目的として東京大学新聞社が主催。参加したのは学部生15人と院生6人の計21人(うち文系9人、理系12人)で、ほとんどがプログラミング初心者だった。学生は2、3人で構成されるチームを組み、開発に取り組んだ。

 

 参加者は6~7月に、ハッカソンに先立って、日本ビジネスシステムズのトレーニングセンターで行われたプログラミング講習を受講。チーム内で顔合わせを行い、プログラミングの基礎や、プログラミングのコードの共有法などを学んだ。夏休みにはProgate提供のプログラミング学習サービスで自習するなどして、アプリ制作に必要な基礎的な事項を習得した。

 

 9月22日にサイボウズのオフィスで開かれたアイデアソンでは、各チーム2~4人のメンターも合流。メンターとは技術やアイデアについて助言する役割を担う人たちのことで、協賛企業の社員から成る。アプリの開発に当たっては「動詞」というテーマが設定された。日常には、朝「起きる」、電車に「乗る」など、さまざまな動詞が潜んでいる。各チームは動詞を一つ選んで自由に解釈し、それに沿ったアプリを考案。具体的なインターフェースのアイデアを出すなどした。

 

 

 アイデアソンから2週間後、ハッカソン本番のために日本ビジネスシステムズ本社のある虎ノ門ヒルズに集まった各チーム。計13時間という限られた時間の中で、アプリの製作と発表の準備をしなくてはならない。各チーム、学生とメンターの垣根を越えて綿密にコミュニケーションをとりながら作業を進めていた。

 

 

 開発を終えて、2日目の夕方に迎えた発表会。アプリの中身だけでなく、発表も評価の対象となるため、実際にアプリを操作する場面を見せたり、自分たちで声を当てた動画を流したりするなど発表も工夫されていた。3分間の発表の後は3分間の質疑応答。協賛企業の社員である審査員からだけでなく、他チームの学生やメンターからも質問が飛び出した。中には新しい機能のアイデアを引き出すような質問もあり、充実した発表会となった。

 

 全チームの発表が終わると、審査を経て、まずは10社の各協賛企業による企業賞が授与される。

 

 企業賞を二つ受賞するなど高評価を得たアプリの一つが、テーマに「サボる」を選んだチーム「梅酒のカルピス割り」の「Morning Mama」だ。このチームは朝起きられず、バタバタして忘れ物をしてしまう女子大学生をペルソナ(仮想の利用者)として設定。登録した時刻までに起きないと母親に電話がかかるようにした。翌日の持ち物や予定などを設定できる機能も搭載。「自分が大学生の時に使いたかった」と話す審査員もいた。

 

 

 10人の審査員がそれぞれ、発表の中から1~3位を決定、投票する。合計票数の一番多かった、「ダッフィーを愛でる会」が最優秀賞となった。チームには東京大学新聞社から香水と、定期購読2年分か入学した年の入学アルバムが贈呈された。

 

 発表会終了後の懇親会では、アイデアソン、ハッカソンの計3日間を共に過ごした学生とメンターが満足げに語り合う場面も見られた。協賛企業の審査員もそろって「どこに賞を与えるか悩んだ」と話すほど、充実した大会になった。

 

最優秀賞受賞チーム「ダッフィーを愛でる会」の感想

 

 「ダッフィーを愛でる会」は笹倉まおさん(理Ⅰ・2年)、佐野翔子さん(工・3年)、渡邉春香さん(文・4年)とメンター2人から成るチーム。「夢見る」をテーマとして開発した「Dreamee」は将来の夢が決まっていない大学生に、登録されたデータベースの中からランダムで社会人の誰かのキャリアパスを見せてくれるアプリ。アプリの機能、こだわりやハッカソンの感想を3人に聞いた。

 

 

 「就活が近く、進路を考える際にあったら便利だな、というアプリを作れました。ランダムで情報が提示されるため、自分の興味がなかった分野について知れるのが特徴です。既存の就活情報サービスで検索するにも、最低限の知識が必要ですが、存在すら知らなかったような業界に偶然出会って、自分の新たな可能性を発見できるのも強みです。既存の就活情報サービスとは違い、直接企業を知るのではなく、人を通じて企業を知ることができるのも大きな特徴だと考えています。

 

 チームで協力して何かを作ることは日常生活ではあまりないので、貴重な経験になりました。プログラミングだけでなく、役割分担ややるべきことを視覚化して共有するなど、チームで作業する上で大事なことを学べたのも大きかったです。」

 

(取材・中井健太)

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