受験

2024年2月24日

東大入試英語座談会【後編】2次試験の英語の対策と本番の心構えを語る

 

 2次試験では英語は配点が高く合否を左右するだが、東大生は時間配分や解き方をどのように工夫したのか?後半では、英語対策でして良かったこと、すれば良かったこと、そして本番で心がけるべきことを座談会を通じて考える。(構成・渡邊詩恵奈)

 

前編では、受験会場や受験教室の違いでリスニング試験の聞こえやすさが左右されることを指す「教室ガチャ」にどう備えるべきかについて話し合いました。

【前編はこちら】

東大入試英語座談会【前編】リスニング試験の「教室ガチャ」にどう備える? 

 

 

参加者

佐々ひなた 文Ⅰ・1年(以下、笹)

高倉仁美 文Ⅲ・1年(以下、仁)

岡部義文 理Ⅰ・1年(以下、文)

新内智之 文Ⅰ・2年(以下、眞)

 

2次試験の英語でして良かったこと しておけば良かったこと

 

──では皆さん、実際に2次試験を受けてみて分かった、特にして良かった、しておけばよかった対策、もしくはこれに時間をかけなくてもよかったなっていう対策は何かありましたか

 

【笹】まずリスニングに関してなんですけど、やっぱり高1、高2からちゃんと聞いて慣れておけばよかったなとは思っています。なるべく早い時期から慣れるといいんじゃないかな。英語全般については時間が全部で120分、リスニングが途中で30分あるから、45分、30分、45分になると思うんですけど、最初の45分間でリスニング以外を全部解くのを私は強く勧めてて。そうすると残りの45分全部見直しに使えるので、気持ち的に楽で。これ、結構速読が得意じゃないと難しいと思うんですけど、なるべく速く書き終えて見直しの時間を増やした方が良いんじゃないかなと思うので、それを意識して練習中には時間制限を短くして練習すると良いんじゃないかなと思います。

 

【仁】早く解き終わって見直すようにしようとか、結果が出るような自分なりの解き方のスタイルを、模試を通して私は身に付けたので、そういう解き方を身に付けておいた方が本番も自信持って望めると思います。私の場合は英語を得意としていたので、リスニングは1回目の音声でもう終わらせる。で、2回目の音声が流れてるときは、もう次の問題に行くようにしていました。時間を余らせて、絶対に見直しをするのを自分のスタイルとしてやっていました。他の科目と比べて私の場合は英語がちょっと落ち着ける科目だったので、英語に限らず、そういう科目を1つ作っておくことが良いのかなと思って。もしそれを英語にするんだったら、その解き方を身に付けておく。ちゃんと結果が出るような解き方をあらかじめ自分の中で確立したら、英語をそういう自信ある科目にできると思います。

 

【文】2つあって。1つはなんとなく英語を聞かないっていう。日常的に英語に慣れるためにちょっとした隙間時間に英語を聞くとかは、全然良いと思うんですけど。リスニングの問題の対策をするために、ちょっとした時間で英語を聞こうみたいなのは私の場合はあんまり意味がなかったなって気がします。テストのリスニング問題の対策って、やるんだったらちゃんと時間を取ってしっかり、じっくり、集中して勉強したらよかったなっていう風に反省点があるのが1個。と、もう少し模試を真面目に受けた方が良かったなというのが2個目です。というのも入試本番って、英語が最後の科目じゃないですか。私、初日の数学で大失敗していて、2日目もすごい訳の分からない物理の問題出されて、英語に対するプレッシャーがすごく大きかったんですよね。英語で失敗するともう後がないみたいな感じで、本番の英語を解いたときの集中力って全然これまでの模試の時と違っていて。模試の時のリスニングって最後なのでもう疲れて、ヘビーな数学や理科も終わった段階で解くので気持ちが楽になっていたんですけど、本番はものすごい緊張したので。そういう意味も込めて、模試のリスニングもちゃんと解くのは、もう少し真面目にやってればよかったっていう風に思いました。特にリスニングは1回聞き逃しちゃうと後がないので、集中力がすごく大事かなと思います。

 

【眞】僕は良かったなと思ってるところは、先読みしたことですね。僕の中で各大問で5問あるけど、1回目の放送で絶対に(1)(2)どっちかは解いて、2回目はできれば(3)から(5)に集中したいなみたいに役割分担をしていたんですよね。厳密な役割分担じゃないけど、1回目はこっち、2回目はこっちって少し考えてたのが良かったなっていう。やばくなった時の対策の面でも、役割分担はやって良いのかなとは思う。あと、考えると逆に点数悪くなってたから、もう何も考えずに聞いたことを信じて解くのは意識してました。やっときゃよかったなっていうのは、ライティングとかリーディングの処理速度を上げること。やっぱり時間が足らなくてリーディングの1Bと4Aは捨てて、余裕があったらやるみたいな感じだったんだけど、余裕があることはまずなかったので。夏ぐらいから速く正確に解く練習をちゃんとしておけば良かったなとは強く思ってます。

 

 

──皆さんあらかじめ時間配分を決めてあったか、どのような時間配分だったか、そして実際に本番でその通り解けたかどうかを教えてください

 

【笹】リスニングの前の45分の時間で全部そのリスニング以外を切るっていうのをやってて、その中の順番としては普通にページをめくる順番、1A1Bの順にダーッと進めていました。

 

【文】ちなみに、それぐらいのスピードで解けるようになったのっていつ頃でしたか。

 

【笹】結構元々読むのは速い方だったんですけど、実際にその形にできるようになったのは高3の夏ぐらいかなって。英検の勉強をしてて、英検って結構リーディング多いのでその影響もあります。特に自分で時間測って、速く読もうって思って練習したことはなかったので高3の夏でできるようになりました。順番としては大問1からバーッとやっていって、本番もそんな形でやりました。

 

【仁】時間の配分は特に気にしてなかったんですけど、私は最初から順番にやるパターンで。最後の物語が1番自分的には楽で、要約が1番苦手だったんですよ。模試でたまにどうすればいいんだろうってやつが出てきた時に20分くらい使っちゃうレベルで苦手で。苦手なやつと、時間をすごい費やしちゃうかもしれないやつを最初に終わらせて、自分的にはサクッて解けるやつを最後らへんに持っていくっていうのを一応意識してやってはいました。なので、絶対にこの時間内に終わらせるみたいな厳しいルール的なのは決めてないんですけど、解く手順は模試の時から決めてました。

 

【文】私は前半45分で読み終えるほど速く読めないので、全体の120分の中でちょうど全部の問題を解き終わるような時間配分にしていました。マークミスが怖かったので、解く順番は問題の通りで。最初の40分で大問1、2を解いて、5分間リスニングの先読みして、30分リスニングを解いて、残りの45分で大問4、5を解く、みたいな感じでやってました。というのも、問題を全部捨ててしまうのがすごいもったいないような気がして。東大の入試問題の英語って記号問題だと品詞の都合で、結構8〜10個の選択肢から2、3個に削れるので、時間がなくて解けなかった場合でも必ず問題を見て、何かしら答えるようにはする、とは意識してやってました。もたついて、時間が長くなってしまいそうだったら読み飛ばす量を増やすとか。逆に並べ替え問題がすぐ解答を思いついて時間が余ったら普段あんまりゆっくり読まなかった問題もちゃんと読んでみようかな、みたいな調整をしてました。模試の頃からいつも最後の30秒で大問5の選択肢をマークしていたんですけど、本番も大体そんな感じで。特に見直しはしてなかったです。

 

【眞】一浪の時は最初の問題からガーッと解き進めて、1Bでめちゃくちゃ時間を使ってしまって…受験した中で1番点数低かった。で、現役と受かった年は確か順番ほぼ変えてないね。試験始まったらまず5分先読みして、その後に4Bの和訳を解きますよと。で、英作2つ解くところまでをリスニング前に終わらせたいなと思ってたんだけど、大体ライティングがリスニングの後までずれ込むんだよね。そしたら要約をやって、その後に残り30分ぐらいかと思いながら解いてたら、5の小説で28分くらいかかって1Bと4Aは残り2分で全部適当にマークを塗るのが多かったかな。1B皆さんどう解いてました?すごい焦って頭に入ってこないことがめちゃくちゃ僕多かったんだけど。

 

【文】コストパフォーマンス悪いですよね。英文の量に対して解答する量少なすぎる。

 

【眞】そう、全然頭に入ってこなくて選択肢見てもなんやこれ、と。だから僕は4Aと1Bは無理やろと思って捨てた。配点考えるとかなり痛いなってのは自覚しながら、でも1Bやって一浪の時やばかったからな、って感じで捨てた覚えはあります。

 

【文】1Bは結構文脈を、なんとなく行間を読むのが大事なのかなって。それですごい時間を短縮しようとしてたような気がしますね。穴埋めの無いここの段落が筆者にとって主張したい内容なのか、反対してる内容なのかみたいな。そういうざっくりしたくくり方を、ずっと繰り返して時間を削っていくみたいなことをやってたような気がします。

 

【眞】短い時間で、そういうのパッと取るの苦手なんだよね。焦っちゃって、行間とか何を言いたいのかっていう大枠が全然頭に入んなくって。

 

【文】私、単語の勉強をすごいサボってたので、そういう力の方は結構伸びてたような気がしますね。なんとなく読むみたいなのが多分得意になって、その点は良かったのかもしれません。ちゃんと読めるようになることに越したことはないので、褒められた話ではないんですけれど。

 

【眞】個々人のタイプっていうのもあるかもね。

 

 

──皆さん模試などで上手くいった時間配分を本番に適用したというお話だったと思うのですが、東大の模試の受け方について、特に英語の時間配分などで意識した方が良いこと、心がけた方が良いことはありますか

 

【笹】私は自分にとってこの問題はどれぐらい短縮できるのかなっていう、タイムアタックみたいなことを模試でやってたってのもあって、自分にとってどれぐらい時間を削れるか試してみるのは模試でやってみてもいいと思います。あと、特に自分の周りや同じ学校に東大志望の人が多い人だと最後の科目だから結構だらけちゃうっていう人が多いって感じてて。私は周りに東大志望者がいなかったのであまりなかったんですけど、最後の最後まで緊張感を持つことを模試でも練習した方が良いんじゃないかなと思います。

 

【仁】冠模試は東大入試と同じ形式っていうのを生かして、自分の解き方、順番、時間配分を練習する場として活用した方が良いと思います。冠模試となると順位が出ることもあって、模試で良い点数を取ることが目的化しちゃうこともあると思うんですけど、あくまで入試に合格するための手段だということを意識することが大切だと思います。特に英語の場合は解く順番や時間配分を変えてみるとか、試行錯誤しながら臨んだ方が良いかなって思います。

 

【文】同じく。やっぱり冠模試で、ある程度最終的に慣れた形でやった方が絶対いいので、色々パターン試しながら自分に合った時間配分を見つけるのと、時間配分に間に合わなそうになった時にどういう風にリカバーするのか、みたいな練習が大事なのかなと思っていて。私は120分でちょうど全部解くみたいなスケジュールでやってたので、結構余裕の無いことをしてたんですけども。でも、ずっとそのペースだったから本番もあまり焦らずできたので、タイムスケジュールを考えとくってのはすごい大事だと思います。

 

【眞】今思うと、あんまり模試で時間配分とか意識したことがなくて。点数ばっかり気にして、それでちょっと精神的に追い詰められたところがあったから、点数よりも何かもっと違う目的を持ってちゃんとやるって大事だなというのは思う。あと、時間が無いので焦りすぎちゃって、英語が読めなくなった時期があって。自分がきつくなってしまった時に時間もオーバーしていいよ、とか問題じゃなくって言いたいことを自分なりに判断できればいいよっていう基準を設定したなというのは覚えてます。時間配分は結構、得意不得意がはっきりしてたので、どうしようかなって考えた時に自然とこの問題はこれぐらい時間かかるから、多分こういうふうに組み込まないと集中できないだろうなって、自然と固まってしまった感じがあるので。模試でそこまで一生懸命時間配分を試した記憶はないし、点数を目的にしちゃったところがちょっと良くなかったなっていうのは反省点として持ってます。

 

 

──皆さんのスピード感、時間配分や解く順番が固まったのっていつ頃だったのでしょうか

 

【仁】私の場合は、高3の夏の冠模試はマジで何も考えないで解いていて、秋模試から試すようになったんですよね。多分夏休みに過去問に手をつけ始めると思うんですけど、その過去問に手をつけ始めてから色々考えるようになって。考えたのを秋模試で実践して、固めていきました。

 

【文】私もそうですね。時間配分は夏の冠模試で固まって、自分はどういうのが得意か色々考えて、時間配分を決めたのは多分そこから秋模試までの間で。最初はリスニングが苦手だったので、夏は先読みの時間を15分ぐらい取ろうとしていて。ですけど、あんまり意味が無いなとは秋から冬にかけて思ったので、先読みする時の読む量ちょっと減らして、正しいものを選ぶのか、間違ってるものを選ぶのかとか、何を聞いてるのかみたいな大筋だけ掴むようにして。それで先読みの時間を5分程度に減らして、その分英作文の時間に充てようと調整をしたのが秋から冬ぐらいでした。そこからはあんまり変わってないなって思います。

 

【眞】リスニングの先読みの話してたけど、その先読みって選択肢までやってた?

 

【文】15分ぐらいかけようとしてた頃はびっちり読んでいて、減らした後は基本は問題文だけ、時間があれば選択肢も読む、みたいな感じでやってました。

 

【眞】先読みっていっても英語の設問文の原文にマークをするのか、ちょっと大枠のメモを日本語で書くのかとか、どういう形でやってました?

 

【文】頭の中で日本語に変換した方が分かりやすい単語だった場合は、ちょっと日本語をひらがなでメモしていたと思いますけど、基本はキーワードになりそうな名詞に丸をつけるみたいな。やる中で大筋がなんとなく分かるぐらいを目指す。それと正しいものを選ぶのか間違ってるものを選ぶのか、読み間違えて減点されたことがあったのでちゃんと見ておくようにしてましたね。

 

【眞】なるほど。僕は設問文の大枠をぱぱぱっと書いていましたね。それも英語の試験なのに全部日本語。基本的には演習は夏が多かったけど、和訳と小説の問題だけは春ぐらいからちょっと教材に入ってたから、和訳は取れるのかなと思って和訳を1番初めに持ってきたのが夏の模試だったかな。小説も演習に組み込まれてたから、和訳と小説は大事なのかなと思って。和訳、小説をリスニングの前にやって、夏の模試はその後に嫌いなライティングとかを頑張るってことをやってた。秋頃の演習のライティングで想像以上に良い評価をもらって、ライティングへの苦手意識が無くなったので、秋模試は和訳、ライティング、リスニングの後に小説、要約の順番で解きました。要約の方が所要時間短いなと思って、多分直前に要約を前に持ってきてリスニングの後に要約、小説って自然と変遷していったような印象があります。

 

2次試験本番に向けてのアドバイス

 

──受験生に向けて2次試験本番までの間にできる対策、本番の聞き方や心の持ちようのドバイスがあれば教えてください

 

【笹】リスニングだけに時間を割ける人はほぼいないと思うので、少しの時間でも聞いておくのが大事だと思います。これは英検の時に私が失敗したなって思ったんですけど、あんまり速度速いものを聞いてるとその速度に慣れてしまって、遅いのを聞くと聞けなくなるっていう現象が起きる可能性があるのでそんなに速くしすぎなくてもいいと思います。メンタル面に関しては入試本番の2、3日前に過呼吸になって、結構メンタルを崩しちゃって。そういう時も今までやってきた教材とかノートとか見返すと、ここまではできてるから、ここを直前にやろうって気持ちをもう1回整理することにも繋がるので。どの科目でも自分がやってきたものを見返す時間にすると、メンタル保てるんじゃないかなって思います。

 

【仁】学習面は、2月ぐらいに急に「私が今やっていることは意味あるのかな」とすごい考えちゃった時期があるんですけど、今思えばなんも考えなくていい。今更効率とかどれだけ成果につながるのかとか、余計なことを考えなくてもいいなとは思います。考えて自分を追い詰めて行動を変えるよりかは、たとえ少し非効率的だったとしても絶対何かしらの成果はあるし、今までの積み重ねがあるのでもう考えないでそのまんま継続していいと思います。メンタル面では、私の場合は模試の成績が良かったのになぜか落ちるんじゃないかって悲観的だったので、もし模試で結果出ている人だったらもう本当に模試をそのまま信じる。もう盲目なぐらいに信じて、A判定だから大丈夫でしょって自信を持つ。模試の判定があんまり良くない人に対しては、逆にもう模試を信じない。結局、本番何が起こるのか本当に分かんないので、自分の都合いいように感情とか勉強法とかの整理をつけた方が良いかなと思います。

 

【文】リスニングに関しては、もうこの時期はやり方をコロコロ変えずに決まった時間、決まった内容を先読みして、決まった順番で解いて、聞いてっていうのを大事にしたら良いのかなと思います。変に変えちゃうのは良くないような気がするので。そんなにたくさんリスニング解くわけじゃないと思うんですけど、毎回自分の決まったやり方を確認するのを大事にするのが良いのかなと思います。メンタル面だと私が良かったなと思ったのは、自信の有る無しは置いといて、とりあえず余裕そうなふりをするみたいなのを漠然と意識していて。当然受かるかなみたいな、そういう気持ちが大事かなと思いました。数学ができなかった時にそこまで落ち込まずにいられたのは、普段からそういうふりをしていたおかげな気がするので。

 

【眞】リスニングって、今から勉強法変えてもあまり意味は無いかなと思うんですけど、1つあるとしたら、もし本番で十分に聞けなかった時にズルズル引きずるんじゃなくって、1回目ではここは捨てるぞと、2回目にかけるぞっていう判断を迅速にするところは受験生にとっても参考になるといいかなと思うところですかね。入試全体で言うと、模試よりも入試の方が気楽だったんですよね。模試って判定も出るし、全部点数出てくるし、答案だって途中点何点入るかとかも書かれて返ってくるけど入試ってほぼブラックボックスですから。得点開示は返ってくるけどそれ以外何もないっていうところで、僕は模試が終わってから精神的な状態がすごくよくなって、めちゃくちゃ点数が上がりました。なので、無理かもしれないけど入試は1番詳細が出てこない、1番気楽な試験だと思って受けてください。

 

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