英国のリズ・トラス前首相を招いた講演が2月18日、本郷キャンパスの伊藤謝恩ホールで開催される。概要や見どころについて、運営に携わる学生に寄稿してもらった。
(寄稿=中島胡太郎、文Ⅰ・2年)
東京大学先端科学技術研究センター(通称「先端研」)ルール形成戦略分野・経済安全保障プログラムは、2023年2月18日(土)に東京大学本郷キャンパス伊藤謝恩ホール(東京都文京区本郷7-3-1)にて、リズ・トラス前英国首相をスピーカーとして招待し、日英関係の今後やインド太平洋における経済安全保障に関するシンポジウムを主催する。
リズ・トラス氏が、2月17日に都内で行われる、IPAC(Inter-Parliamentary Alliance on China、対中政策に関する列国議会連盟)などが主催する「IPAC東京フォーラム」に合わせて来日する予定となった。それに合わせて開催される本シンポジウムは、IPACにて経済安全保障アドバイザーも務める、東京大学先端科学技術研究センターの井形彬特任講師のイニシアティブにより実現された。井形特任講師が所属する先端研同プログラムでは、「経済安全保障」に関する様々な研究プログラムが2023年に入ってから始動している。
本シンポジウムは、井形特任講師のもと、実質的には学生が運営を担当している。運営を担う学生は主に、先端研ルール形成戦略分野の玉井克哉教授が開講している、知的財産や経済安全保障について扱う全学自由研究ゼミナールの出身者で、学年や学部は様々である。
学生は、1月末から全体計画の立案、会場の予約、広報依頼や映像撮影依頼などを日々進めてきた。数々のイベント運営の経験を活かし学生を統括する中川遥(経・3年)は、「今まで経験したことのないほどの大物をお迎えするこのイベントを、学生主体で運営できるなんて、身に余る光栄です。情報解禁時に一斉に多くの応募をいただいた時には鳥肌が立ちました。今、東大を中心に「経済安全保障」を議論する土壌ができ始めています。政治的にも大きな変化の多いこの時代に、まさに政治の最前線に立つトラス氏をお招きできることがとても楽しみです」と語る。
英国がEU離脱後、アジアへ重心を移す中、日英は、政治・経済的に関係を強化し、「日英同盟の再来」とまで言われる新たな時代へ突入している。また、英国はアジアにおける政治、経済、軍事面における緊張の高まりや人権問題に対する関心が高い。このような国際情勢において、これまで日本にはいない女性総理大臣としてのキャリアのみならず、外務大臣や国際貿易大臣としてのキャリアやウクライナ侵攻に対応した経験も有するトラス氏による講演は非常に価値の高いものとなるだろう。
トラス氏は、50日に満たない首相在任という政治劇の主要人物であり、辞任後は国際的な発言の場からは遠ざかっていた。同氏にとって、辞任後初の大々的な国際的発言の場となるのが本シンポジウムを含む今回の来日である。同氏がどのような政治的「カムバック」を演出するかは政治的に大きな意味を持ち、この点にも注目が集まる。また、学生の目線からすると、カムバックを間近に感じ、挫折を乗り越えた強い言葉を聞ける刺激的な機会になるだろう。
井形氏は、分野が多岐に渡る「経済安全保障」の専門家であり、豊富な海外経験や有識者との情報共有に裏付けられた豊富な知見を有する。激動の国際情勢下において、井形氏とトラス氏の講演においては、日本だけではなく、インド太平洋、欧米の見方を把握しながら、どのような議論がなされるのかが注目される。
ロシアによるウクライナ侵攻から一年を迎えようとする今、ユーラシア大陸の両端に位置する日英が協力することの意義は大きい。日英関係の今後を指し示すであろう本シンポジウムから目が離せない。
【開催情報】
・日時:2023年2月18日午前10時〜11時20分
・場所:本郷キャンパス伊藤謝恩ホール
・参加費:無料
・申込方法:15日までにこちらのフォームに回答(定員を超えた場合抽選)
詳細情報や問い合わせ先はこちらのページをご確認ください。