教養学部は8月16日、前期教養課程で開講されている基礎生命科学実験で発生した成績評価取り違えのミスに関して、東京大学新聞社の追加取材に回答した。成績評価に疑義があったとしても、単位が認定された学生は訂正の機会が与えられない現行の制度について、教養学部は見直す余地はないなどと回答した。
今回の追加取材は、東京大学新聞社が8月9日に報じた内容で明かされた「再発防止策」や「取り違えの被害に遭わなかった学生の成績」について詳しく取材したもの。
まず基礎生命科学実験を受講した、成績取り違えの当事者以外の成績も確認を行ったかについて質問。学部側は、今回成績取り違えが発生した学生と、採点および成績付与の方法が同様な学生についてのみ確認を行ったと回答した。同じ科目を履修していたとしても、評価方法が異なる学生の成績確認は行っていないとした。
今回のミスを受け、授業各回の評点の段階から複数人でチェックを行う再発防止策が予定されている。いつから適用するかについては、22年度S2ターム・Sセメスターは実施せず、次学期から行うとした。また再発防止策が適用される科目についても、今回取り違えが生じた基礎生命科学実験のみ行うとし、全ての科目に適用されるわけではないと回答した。
現在、成績確認申請後に成績評価の修正が行われても、その詳細は説明しない扱いになっている。今回なぜ例外的に成績の修正理由が取り違えのミスであることを公表したのかについては、東大が不正な評価の修正を行ったように示唆する一部報道に対し、疑念を払拭(ふっしょく)するために必要と判断したためだと回答した。
現状「成績評価の確認申請」は単位が不認定となった学生のみ行えるため、単位が認定された学生には成績評価を訂正する機会が与えられていない。今後、単位が認定された学生も「成績評価の確認申請」が行えるよう制度変更を行う必要性の有無については、全ての成績評価について確認申請できる制度とすると、成績評価を上げるために確認申請の乱用が生じる恐れがあると説明し、制度の見直しは考えていないとした。
今回の成績取り違えに関して、自身の成績にも同様のミスがないか不安に思う学生への対応については「成績評価は教員による十分な確認のうえで付与され、誤りがないことが前提となっています」と回答。今後は今回のようなミスを避けるため、各授業における成績付与にかかる手順について検証・改善を行っていくと明かした。
【記事修正】2022年8月19日午後10時26分、誤字を修正しました。
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