12月2日、3日に東京フォーラム2021がオンラインで開催された。東京フォーラムは東大と韓国の学術振興財団Chey Institute for Advanced Studies(CIAS)が共同で主催しており、3回目となる今回は「科学と人の心」をテーマに、研究者や政策決定者など40人を超える多様な参加者が110カ国の8000人以上の視聴者に向け講演や討論を行なった。
藤井総長は1日目に「科学の進歩に伴い、コンフォートゾーンの外での交流や絶え間ない情報の入力が生じ、人々は不安を感じている」と今回のテーマを解説。「大学の重要な役割として、さまざまなつながりを生み出すことがある」とフォーラムで多様な議論が行われることを期待した。1日目にはイェール大学で心理学、神経科学を研究するマーヴィン・チョン教授、建築家の隈研吾特別教授・名誉教授らが基調講演を行ったほか、トークセッション、パネルディスカッションが行われた。
2日目に特に注目を集めたのは、東大大学院農学生命科学研究科の八木信行教授、ハーバード大学文理学部のマイケル・サンデル教授、国連での勤務経験を持ち現在は国際海底機構でディレクターを務めるジヒョン・リー氏による分野横断型ディスカッション。野生の鵜(う)を使った伝統的な漁法「鵜飼」などの例から、どのような姿勢で自然の本来持つ価値の保全・維持と科学技術を両立すべきか話し合われた。
東京フォーラムは、地球と人類社会の直面する課題の解決を目的として2019年より全10回の予定で開催。『Shaping the Future』を包括的なテーマとして、学問領域を横断した講演や討論が行われている。