「そこまでだ!ネモーグ!大学戦士トーダイン!」
と、授業中の学生に催眠をかける睡魔怪人「ネモーグ」と戦う。
あるときはマージャンパイ怪人「雀兵(ジャンペイ)」と。
あるときはツイッター怪人「呟鬼(つぶやき)」と。
あるときは就活怪人「アリギリス」と戦う…
そう、この怪人たちは大学生を堕落や苦悩の道へと誘い込む(可能性のある)「睡魔」「マージャン」「ツイッター」「就活」を擬人化したもの。
そうした東大生に忍び寄る誘惑や苦悩と戦ってくれているのが
東大生ヒーロー「大学戦士トーダイン」だ!
この特撮映像作品「大学戦士トーダイン」を制作するのは東京大学特撮研究会。同研究会が30周年を迎えた2011年に記念作品として作られ、トーダインの歴史が始まった。
「平和を愛し学業の万難を廃する力、大学戦士トーダイン!!!」という決め台詞&ポーズで東大生に迫る悪と戦っている。
麻雀をする麻雀怪人「雀兵(ジャンペイ)」
決めポーズを取る蛾︎怪人「ガスモス」とツイッター怪人「呟鬼」
「トーダインは東大を守ろうとする東大生です。東大の大いなる意志が東大生に宿り誕生しました。東大生なので彼が卒業したら次のトーダインに引き継がれます」と説明してくれたのは、幼い頃から特撮作品を愛してやまない代表のF氏とK氏(本人の希望で仮名を使用させていただきます)。
毎年五月祭や駒場祭での上映会に向けて制作し、脚本から撮影や衣装、編集まで全て自分たちで行うという。東大生の敵としてツイッターや就活、マージャンなどを擬人化してしまう視点が面白く、ストーリーや研究会メンバーの演技もシュールでなんだか笑ってしまう。
そんなトーダインは現実世界でも本当に東大生を悪から守っている。
東大駒場キャンパスの入り口に設置された「悪質な勧誘に注意!」という看板。なんとそこにはトーダインが。数年前、学生支援課からトーダインで学生向けの啓発ポスターを作りたいとの依頼があり、「置き引きに注意!」など数種類のポスターを作った。筆者も駒場時代に門や図書館前などで毎日見かけた記憶がある。今や駒場生にとってトーダインはお馴染みのヒーローだ。
特撮って何?という知識レベルの筆者に「特撮映像っていうのは、現実ではあり得ないものをトリック的な撮影を使って制作する映像のことですよ。撮影した映像に加える形のCGとは違って撮影段階で特殊効果をつけるんです。例えば柱の裏に変身した人がスタンバイし、僕が柱の裏に歩いて入って代わりにその人が出てきたら僕が変身したように見える。それも一種の特撮技術。昔から様々な技術が確立されています。」とF氏とK氏は丁寧に解説してくれた。
多くの男性は子どもの頃ウルトラマンやゴジラといった特撮作品を見て育ったのではないだろうか。しかし大半の人は大人になるにつれ卒業する。どうして今もそこまで好きなのか?という質問に、幼稚園の頃から「ゴジラ2000ミレニアム」が好きだというK氏は、
「抜け出せなくなってしまいました。いろんな作品を見ていくうちにあれもこれもと手を出していたら中学生、高校生、大学生に…。好きですからね。メンバーと好きな作品について語り合ったり、子どもの頃から好きなシーンを作品の中で再現したりするのがすごく楽しい。」
その隣で放送当時から「ウルトラマンネクサス」が好きだというF氏が頷く。
…抜け出せなくなってしまった。否定的な言葉を使いながらも「これが僕の好きなものだから仕方がないんだよね」となんだか嬉しそうな響き。仕方がないと言えるほど長い間好きでいつづけてきたものが思いつかない筆者にとって、それは衝撃でありすごく羨ましくもあった。多くの人が子どもの頃に好きだったものを、好きであり続ける人と卒業する人って一体何が違っていたのだろうか…と思いに耽っていると、「トーダインを巨大化したいんですよね」とK氏。
想像力の豊かさだろうか…?
【東大特撮映像研究会】
1983年創立。トーダイン作品の制作の他には、駒場にて月に1、2回テーマを決めて持ち寄った特撮作品を見てディスカッションをしたり、コミックマーケット出展用の特撮評論誌を作成したりする。現在部員絶賛募集中。
東大特撮映像研究会ウェブサイト>>http://tokusatsuken.web.fc2.com/index.html
東大特撮映像研究会twitterアカウント>>https://twitter.com/todaindensetsu