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2014年7月28日

新卒でベンチャーに行け!? 東大出身起業家が語るベンチャー論

15日、東京大学の山上会館にて、東大出身のベンチャー企業経営者8人が一堂に介し、TODAI Foundersが開催された。主催のGoodfindの運営母体のスローガン株式会社の代表取締役の伊藤豊氏も東大文学部出身。豪華なラインナップにより熱気に包まれる中、約40人の東大生が参加した。

起業のための最短ルートとは

IMG_9810.JPG 特別講演として、最初に登壇したのが、水永政志氏(右写真)。三井物産、ボストン・コンサルティング・グループ、ゴールドマン・サックス証券を経て、2002年に不動産分野のインベストメントバンキングを主要業務とするスター・マイカ株式会社を設立した。

水永氏は、起業前の時期を、「上司に御世辞を言ったりしなければいけないことが嫌だった」と振り返る。「特に、ゴルフでナイスショットです!と言うのが嫌でしたね」と苦笑いする。「ですって何なんでしょうね、ナイスショット『です』って(笑)」と言いながら、「『正しいこと』が正しいとされるとは限らない」のが大企業であると語る。水永氏は再三、大企業に一度入ることが、起業のための最短ルートであるとは限らないことを述べた。

「確かに大企業に入ることは勉強になるけど、それは大企業じゃなくても学べること。必要以上にぞうきんがけしなければならない場合もあるようです。教科書でも十分学べることはある」

「今流行しているとこに行ってはダメだよ。5年先を見据えないと」

「いつまでも大企業にいる人は、隣のレジが空いたのに『ずっと並んでるから』と言ってレジを移らない人と同じかもしれないよ」

等、アツいメッセージに溢れる講演を展開され、出席した学生は熱心に聞き入っていた。

IMG_9819.JPG 続いて、「ミドリムシで世界を救う」の文句で有名な、株式会社ユーグレナ出雲充氏(左写真)が登壇し、特別講演を行った。

会社を作るフェイズに携わること

二人の特別講演の後は、主催のスローガンの伊藤氏、またハプティック株式会社の小倉弘之氏も交えたパネルトークとなった。

小倉氏は、自らの就職活動当時を振り返り、「当時は『ベンチャー』という言葉がそもそもなかった」と振り返り、「ベンチャー」というマインドが普及し始めている現在の学生の奮起を促した。

伊藤氏は「まず、大企業とベンチャー企業だと、『使う筋肉』が違う」と述べた。大企業で一線を張れている人が、そのままベンチャービジネスで成功できるとは必ずしも限らないという。ただ、人材流動が増えてきた現在では、中小企業で力をつけた人が大企業へと転職していくケースも増えてきていると述べ、既存の企業に入るにしても、どこに入るかはよく考えた方がいい、と学生にアドバイスした。例として、今のリクルートは、リクルート事件後に入社し、会社立て直しのために奮闘した人たちによって形成されたことを挙げ、「黎明期を経験すること」「会社を作るフェイズに携わること」の重要性を東大生に訴えた。

IMG_9834.JPG(左から、水永政志氏、出雲充氏、小倉弘之氏、伊藤豊氏)

大企業とベンチャーの違い

最後の部では、4名によるパネルディスカッションが実施された。登壇したのは、株式会社モルフォの平賀督基氏、株式会社エルテスの菅原貴弘氏、株式会社ホットリンクの内山幸樹氏、ホットティー株式会社の保手濱彰人氏の4名。

平賀氏は、東大生の特徴として、「与えられた課題を解く問題解決能力は高いが、未知の問題を設定する問題設定能力はそこまで高くない」と指摘し、問題設定能力に優れた仲間と一緒に事業することの重要性を述べた。

内山氏は、「やりたいことがあれば、誰よりも早く行動に移したほうがいい」とアドバイスする。大企業に行って「学ぶ」という考えではなく、自分で新しいことをやったほうが近道であると強調する。

菅原氏は、ベンチャーの風土として、「一見怪しいものに逆張りすることができるか」という点を指摘する。東大生は概して「エスタブリッシュなもの」に行きがちだが、それとベンチャーの風土は正反対であると主張。ユーグレナ出雲氏の例を挙げ、かつて、「ミドリムシなど怪しい」と思われていた時代に、どれだけそこに張ることができるかが重要だと語る。自身も、2008年ごろ口コミがブームになった際、口コミで困る人を助ける「Web誹謗中傷対策」事業を始めたことが、会社が成長する転機になったという。

東京大学起業サークルTNK設立者でもある保手濱氏は、東大生が起業するメリットとして、「優秀な仲間を創業時に集めやすい」ことを指摘する。一方で、起業間もない頃は「チヤホヤされることも多い」が、勘違いせず事業に集中する重要性を説いた。

IMG_9845.JPG (左から、菅原貴弘氏、平賀督基氏、内山幸樹氏、保手濱彰人氏)

(文・写真 オンライン編集部 沢津橋紀洋・荒川拓)

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