受験

2024年2月9日

【合格直前体験記】2次試験本番まで残りわずか、 今日は何をする?

 東大2次試験まであと15日。本番が迫り焦る一方、何をしたら良いのか分からない――そんな悩みを抱えている受験生もいるのではないだろうか。現役東大生は、受験のラストスパートをどう過ごしたのか、受験生時代の1日のスケジュールを東大新聞の記者たちに聞いた。(取材・岡部義文)

 

ケース1 Aさん 自習を中心に 学校で友人と

 

Aさんの1日のスケジュール

 

 塾には通っておらず、学校の授業も1月で終わったため、直前期は勉強時間を全て自習に充てた。勉強場所に選んだのは高校の教室。社会や英語の論述問題の添削を高校の教員から受けたり、休憩時間に友人と話したりすることが、精神面でも励みになったと言う。

 

 午前5時に起き、午後10時に就寝する朝型のスタイルは、教員の勧めで高校3年生の夏から続けていた。2次試験の開始時刻は午前9時30分と早く、朝型のスタイルは相性が良いと言う。朝は眠気覚ましに英単語を復習し、学校で国語、数学、社会の過去問をこなす。帰宅後に英語のリスニング問題を1年分解き、就寝前に英語の過去問を解いた。

 

 直前期に注力したのは東大の過去問だ。「過去問を通じて東大入試のルールが分かる」と考え、直前期は過去問以外にはほとんど手を付けなかった。直前期に新鮮な気持ちで解くために、直近5年分の過去問は解かずにとっておいた。時間配分が重要な国語や社会は1年分を本番と同じ時間で解き、数学や英語はまだ得点を伸ばせそうな分野の問題を選んで解いた。受験前日の勉強時間は少なめにして、ノートを見て自分がやってきたことを振り返り自信をつけた。

 

 直前期に大切なのは「勉強以外の計画もきちんと立てること」と話す。当日の入室時間や試験会場までの行き方など、受験本番は勉強以外でも確認すべきことは多い。勉強時間を削ってでも確認しておいた方が良いと話した。

 

ケース2 Bさん 塾の授業を軸に、自分に本当に必要なことを

 

Bさんの1日のスケジュール

 

 塾の講義を主軸に勉強。生徒数30人程度の集団講義で、過去問演習を中心に行った。塾で扱わない部分は朝晩の自習で補った。

 午前5時に起床して数学の過去問を解いた。1問ずつじっくり解くのではなく、1日に4、5年分を見ながら問題の要点をまとめた。解いた過去問は延べ50年分ほど。塾では共通テストまでは苦手な数学の授業のみを受講していたが、2次試験に慣れるべく、国語、英語、地理の授業も受講。塾の講義を受けることで、これまで自力でやってきた勉強が適切だったのか、客観的に見直し調整する機会になった。帰宅後は地歴を復習。世界史の論述問題は模範解答をファイルにまとめ、地理はポイントを付箋に書いてまとめた。直前期は教科書や資料集を参考に書き込みを加えて勉強。受験を意識し始めた高校1年生のときから徐々に確立していたスタイルだ。就寝時間は午後10時。毎日決まった時間に寝起きすることが大切だと話す。勉強しないと不安になるため、直前期はまとまった休憩時間を取らなかった。音楽を聴きながら勉強し、こまめに科目を変えることで集中力を持続
させた。

 直前期は緊張や不安を感じることも多かったが、意識したのは「他の東大志望者と比べない」こと。勉強以外では東大関連の情報を見ないようにし、プレッシャーにならないよう心掛けた。「直前期は東大志望の友人と距離を取るのも一つの手」と話す。また「本番前ならいくらでも立て直しが効く」という心構えで、自分が今までやってきたことを見つめ直すことも重要だと話した。

 

ケース3 Cさん 直前期は「整える」ための時間 地方から東大受験

 

Cさんの1日のスケジュール

 

 新型コロナウイルスの流行が始まった高校2年生の終わりに本格的な受験勉強を開始。活動が制約されていたこともあり、早期から十分に時間をかけて勉強していた。直前期はその疲れが出ないように、休憩時間を意識して勉強。小学生の頃からの習慣で、手帳に毎週の学習計画を立てていた。勉強以外の予定や休憩時間・睡眠時間を決めた後で、勉強内容を決めていく。直前期は東大の問題に慣れることを意識し、それまで演習量が少なかった日本史や英語、古文・漢文の量を増やした。

 朝早く登校し、学校で自習。共通テスト後は7・8年分の過去問を解き、論述問題は高校の教員の添削を受けた。添削の中で自分の解答の良い点を評価され、前向きな気持ちになれたこともあったという。また、2月上旬まで希望者向けの授業があったため、東大対策になる授業を選んで参加した。

 午後は過去問演習の前に休憩を挟む。勉強時に机に向かう分、目を休められるように、音楽を聴いたり学校の近くを散歩したりした。勉強のことをなるべく考えない時間を設けて、疲れを取ることを意識した。帰宅後は家族と会話して息抜きし、国語や英語の過去問の模範解答を一緒に比較検討した。周囲に東大志望者が少なく、他人と問題を検討する時間は貴重だったと言う。

 直前期はメリハリも大切と話す。受験の2日前が誕生日だったため、受験勉強は17歳の間までと決めていた。受験の前日は渋谷を散策。地方出身で東京に進学したかったため、東京の街を目にして合格したい気持ちを新たにした。「ある程度勉強を積み重ねてきた人にとって、直前期に必要なのは点を伸ばすことではなくて自分の調子を整えること。点につながらなくても自分に大事なことだと思ったらやって良い」

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