12月10日駒場キャンパスで、あるドキュメンタリー映画の上映会が開かれた。ロサンゼルスに住む日系人についての2本のドキュメンタリーで、制作したのは6人の東大生。
この夏に行われた、海外体験プログラムで撮影した作品で、どちらも15分程度のショートフィルムだ。
ロサンゼルスに住む日系アメリカ人の家族をインタビューし、日系2世から5世まで、幅広い世代から話を聞いた。
“Herstory”と名付けられた1本目の映画は、20世紀のはじめ、アメリカに住む日本人男性のもとへ写真によるお見合いを通して嫁いだ日本人女性の子孫へのインタビューをもとに構成されている。
このような日本人女性を「写真花嫁」と呼び、この映画ではその子孫に結婚にへの感覚を聞いて、世代ごとの考え方の移り変わりを描いている。
民族間結婚への意識や、恋愛事情など、時代とともに変わる価値観を浮き彫りにしていて興味深い。
二本目の映画は”Preservation”というタイトルで、日系アメリカ人がもつ日本人としてのアイデンティティに焦点をあてている。
自分のルーツが日本であることを意識する度合いは人それぞれではあるが、この映画では数人の特徴的なインタビュイーを通して、アメリカに住むことで日本人としてのアイデンティティをよりいっそう意識することについて描いている。
これらの映画は、「ロサンゼルスにおける日系人/日本人の歴史と現在を学びドキュメンタリー・フィルムを制作する」という体験活動プログラムで作られた。
体験活動プログラムとは、本学が次世代を担う学生を「よりタフに、よりグローバルに」育成することを目的として、学部学生向けに実施しているプログラムだ。このプログラムは9月7日から18日まで行われ、学生はハリウッドで活躍する映画関係者らからドキュメンタリー制作の知識や技術を教わった。
プログラムに参加した学生は「ドキュメンタリー制作で様々な視点から、多様性に触れることが出来た。チームに留学生が入っていたことでテーマに関する議論が深まったり、ロサンゼルスという初めての土地でそのスケールの大きさに驚くこともあった」と語った。
(文責 須田英太郎)