東京大学新聞社は3月29・30日、全新入生を対象にアンケートを実 施し、新入生3132人の92%に当たる2866人から回答を得た。このアンケートは毎年諸手続き時に行う東大生対象の唯一の全数調査で、受験や大学生活、進路への意識、東大の諸制度や社会問題への賛否などを質問。アンケート結果から、今年の新入生の傾向を分析した。(本文中の割合は小数第1位を四捨五入)
(構成・一柳里樹)
大学院
大学院への進学について聞くと、修士課程・博士課程いずれかに進学したい新入生は48%で、昨年の46%から微増した。大学院進学希望者の中でも「博士課程まで進学したい」人は新入生全体の18%、「修士課程まで進学したいが、博士課程に進学するかは分からない」が26%、「修士課程まで進学したいが、博士課程には進学したくない」が5%だった。「大学院に進学したくない」は12%で、39%が「未定、分からない」と答えた。
科類別では、大学院進学希望率最多は理Ⅰの73%で、以下理Ⅱ(68%)、理Ⅲ(36%)と続く。大学院進学希望率が最も低かったのは15%の文Ⅱだった。文科生全体の大学院進学希望率は19%。文科の全科類で「未定、分からない」が過半数を占めた。
卒業後の進路
学部・大学院を卒業後の希望進路は「民間企業」が25%で最多。「研究職」(24%)、「公務員」(18%)が続いている。「まだ一つに絞れない、未定」も34%いた。文系では「公務員」が31%で最も多く、「民間企業」は26%、「研究職」は8%。理系の最多は「研究職」(35%)で、「民間企業」(24%)、「公務員」(9%)が続く。
「民間企業」が最も多いのは42%の文Ⅱで、「研究職」は36%の理Ⅱが一番多かった。「公務員」は43%の文Ⅰが最多だったが、財務省の公文書改ざん問題が影を落としてか、文Ⅰの公務員志望者は昨年から7ポイント減った。
将来への不安
将来について不安なことを尋ねたところ、「就職」が41%で最も多かった。「後期課程への進学」(25%)、「結婚」(23%)、「収入」(22%)を挙げる人も多く、「不安がない」は14%だった。
エリート意識
「日本の将来を担うエリートだという意識を持っているか」を質問したところ、「持っている」「少しは持っている」を合わせて48%で、2年連続で半数を下回った。この割合は15年から17年にかけて10ポイント低下していたが、今年は昨年の47%から微増し落ち込みに歯止めがかかった。科類別では理Ⅲ(64%)と文Ⅰ(63%)、文Ⅱ(51%)でエリート意識を「持っている」「少しは持っている」と答えた人が過半数を超え、41%の文Ⅲが最も低かった。理Ⅲ生でエリート意識を「持っている」「少しは持っている」と答えた新入生の割合は、昨年から9ポイント下がっている。
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2017年度の新入生アンケート
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この記事は、2018年4月17日号からの転載です。新入生アンケートの全結果は紙面で掲載しています。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。
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