最新ニュース

2018年7月30日

進学選択について推薦生にアンケート 進学先変更可能知らぬ学生も

 進学先の変更について当事者の推薦生はどう認識し、対応したのだろうか。本紙が推薦生39人を対象に実施した調査によると、進学予定の撤回をしていないものの「撤回をしたかった」という推薦第1・2期生が法学部に少なくとも2人存在し、1人は学部の方針も知らなかったことが判明。推薦生間の情報格差も浮き彫りとなった。(構成・太田聡一郎)

 

【関連記事】

推薦一期生の進学選択 6人が進学先変更 学部間で対応に差異

 

進学先変更したかった」少なくとも法に2人

 

 調査は6月10〜17日にインターネット上で実施し、推薦第1期生(現3年生)8人、第2期生6人、第3期生25人から回答を得た。入学時に決まっていた受入学部へ内定した第1・2期生13人(当該設問に無効回答だった第2期生1人を除く)のうち11人は進路変更を希望していなかった(図1)。入学時から興味は少し変わったものの、所属学科を入学後に決める工学部の推薦入試では「選択幅が広かったので変更の必要がなかった」(工・3年)と評価する声もあった。第3期生25人も全員現時点で進路変更は希望しておらず、大多数の推薦生は原則通り受入学部への進学を望む傾向があった。

 

 

 一方、進学予定を撤回しなかったが実は進路を変更したかったという2年生は「変更を認める学部の方針を知っており、変更したかった」としており、SNS上で取りざたされる法学部の方針転換をうかがわせる(図2)。「進学先変更が考慮されているとは知らず、そのつもりもなかった」(工・2年)など、変更が可能か知らないまま進路決定した例も見られた。

 

 

 推薦生間の情報格差は、同学部内でも発生している。「進学予定の撤回を認めるかの学部の方針をどう周知されたか」という設問では、同じ学年・学部の推薦生でも回答が異なる事例が複数見られた(表1)

 

 

 一方で撤回の可否に関する学部の方針を所属する学生が認識していた学部は、本紙の取材に「方針を学生に周知していた」と回答した学部よりも多かった。周知したと回答した学部以外でも、経済・工学部所属の推薦生が、撤回の可否に関する学部の回答と一致する方針を回答した。「方針を大学側から説明された」とする学生も複数おり、何らかの形で周知されていた可能性がある。

 

「撤回認めるべき」多数

 

 

 進路変更を認めるべきかという質問に対しては、9割以上の学生が「無条件で認めるべき」「条件付きで認めるべき」と回答(図3)

 認めるべき理由としては「最優先されるべきは学生の興味関心であり、その実力を発揮する最適な環境が型にはまった対応で用意されないのは避けるべき」(理Ⅰ→工・1年)など、学生の興味を優先する意見が大半だった(表2)。ただ、「客観的な視点を加える必要はあるため『条件付き』にはすべき」(文Ⅰ→法・2年)などの意見も見られた。変更を認めるべきでないという意見の理由には「学部単位での合格を頂いている身分なので学部を変更することは容易には認められるべきではない」(理Ⅰ→工・1年)などが挙がった。

 

 推薦生といえども入学後の経験や刺激で興味が移り変わることは当然あり得ることであり、その時に「入学時に決まった学部へ進学する」という推薦入試の本質的な原則と衝突するのは避けられない。あり得べきケースを想定しない閉鎖的な対応ではなく、当事者の意見を取り入れた活発な議論が求められる。


この記事は、2018年6月26日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

ニュース:6人が進学予定撤回 推薦1期生の進学選択 学部間で対応に差異
ニュース:過去10年で最高の23位 QS世界大学ランキング 国際性の評価深刻
ニュース:国大協 英語民間試験活用例を発表
ニュース:情報学環が高知県と協定締結
ニュース:推薦生アンケート 撤回可能知らぬ学生も 「変更したかった」法に2人
ニュース:AIで細胞を高速で選別 従来の千倍速以上に
ニュース:光を信号に変換するタンパク質の新型発見
企画:高温多湿の夏、対策を 食中毒ウイルスに要警戒
企画:顔を美しく見せたい訳は メークが映し出す女性の心理
NEW GENERATION:統計学 入江薫講師(経済学研究科)
研究室散歩@建築計画:横山ゆりか教授(総合文化研究科)
取材こぼれ話:横山ゆりか教授
日本というキャンパスで:劉妍③(農学生命科学研究科・博士2年)
キャンパスガール:池田寧夢さん(文Ⅲ・2年)

タグから記事を検索


東京大学新聞社からのお知らせ


recruit

   
           
                             
TOPに戻る