2016年度から、多様な人材の獲得を目的として導入された「推薦入試」。ペーパーテストが主な評価対象となる一般入試とは異なり、小論文や面接などが課されており、毎年個性的な学生が推薦入試を利用して入学します。そんな彼らを一人一人取材するのが本連載「推薦の素顔」。東大に新たな風を吹き込む彼らに、あなたも触れてみませんか。
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幼少期から、興味を抱いたことは何でもやってみる性格。高2で米スタンフォード大学の通信教育プログラムに取り組み、プログラム中に提出した小論文で優秀賞3人に選ばれた他、「アジア太平洋青少年リーダーズサミット」に参加し、日本代表として戦後処理をテーマに発表した。その場でインド代表から性差別などの人権問題について聞いたことがきっかけで、インドやパキスタンで多発する、一族の名誉を損なう行為を行った女性を家族が殺害する「名誉殺人」についての論文を執筆。「ウルドゥー語の資料しか見つからずに焦ったこともありました(笑)」と苦戦しながら半年を費やし書き上げ、推薦入試の資料として提出した。
東大は高1から一般入試で目指し始めたが、高3のときに教員に勧められ、「推薦入試で求められる人物像と自分が近いように感じ」推薦での受験を決めた。面接では論文の学術的意義や日本における無理心中との関連性を問う予想外の質問もされたという。無理心中については専門外だったが「手持ちの知識で考え誠実に答えようとしたことが合格の要因だと思います」。
東大に入学して講義の面白さを感じている。特に面白かったのは斎藤茂吉の短歌を新しい解釈で考える講義。常識を疑う楽しさを実感しているという。瀧本ゼミに所属し、企業や経済についての見識を深めている他、ダブルスクールで司法試験の勉強を進めるなど「何でもやってみる」性格は今でも健在だ。
高校時代、国際弁護士の事務所訪問をきっかけに、世界的に活躍する姿に憧れを抱いた。将来は国際弁護士として企業や社会の権利を守っていきたいと語る。世界を舞台に日本を支える弁護士となる日も近い。
(取材・撮影 吉良椋)
【推薦の素顔】
この記事は、2018年1月16日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。
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