今年の東大運動会でも各運動部によるさまざまな活躍が見られた。3年ぶりに全面開催された第61回全国七大学総合体育大会(七大戦)で上位の戦績を収めた部活のうち水泳部水球陣、水泳部競泳陣、フェンシング部に1年間の活動や目標を聞いた。連載1回目は水泳部水球陣の活躍をお届けする。(構成・川北祐梨子、清水央太郎、取材・佐藤健、新内智之、川北祐梨子)
七大戦で昨年の代替大会に続く連覇を遂げ、目標を果たした水泳部水球陣。七大戦で多くの得点を挙げた4年生の3人は、東大入学後に水球を始めた。初心者でも他大学の経験者と渡り合える実力が付くのが水球陣の強み。秘訣(ひけつ)は「上級生が練習メニューも工夫しながら一対一で実力の底上げに尽力してくれる環境」と永野陽久(はるひさ)さん(理I・1年)。永野さん自身も水球経験がなかったという。主将の下郡山遼さん(養・4年)によれば「冬でも屋内プールを用い、泳力向上や試合勘の維持ができる点も大きい」という。七大戦の前には選手の新型コロナウイルス感染などで練習を積めなかった時期もあった。それでも、1日の練習時間を約2時間増やして練習量を補うなど前向きに対応した。
水球陣には今年、関東学生2部リーグ戦2位というもう一つの目標もあった。今年は1校だったが、例年、2部リーグ2位まではインカレに出場できる。リーグ戦は七大戦と異なり、推薦入学の選手が複数在籍し、実力も飛び抜けたチームとも対戦しなければならない。個々の力を上げるだけでは強豪校に対抗できないと判断し、一つの戦術に特化してフィールドにいる全員でまとまって守備・攻撃をするスタイルを確立した。結果的にリーグ戦は4位に終わったが、強豪校相手でも接戦に持ち込めたのは七大戦に向けても自信になったという。
来年は七大戦3連覇と2部リーグ戦での今年以上の躍進が目標だ。一方で、深刻な選手不足に悩まされている。現在、選手は5人。水球は7人制のためこのままだと来年の大会に出られない。水球陣ではこれまでも結果を出しながら入学時に初心者だった選手を主力に育て上げてきた。水球の経験、知識がなくても、興味と意欲があれば実力を付けられる。水球陣が来年、多くの選手を迎え今年以上の結果を残すことを期待したい。