今春は、硬式野球部(東京六大学野球)が2014年秋以来の全敗、アメリカンフットボール部(関東学生1部リーグ)がオープン戦1勝4敗と、1部に所属する運動部が振るわなかった一方、健闘する部も見られた。アメフト部の春シーズンを振り返ろう。
(取材・竹内暉英)
昨秋は関東学生1部下位リーグ「BIG8」でリーグ戦全勝を果たし、上位リーグ「TOP8」昇格まであと一歩に迫った東大アメフト部。悲願の昇格を目指す今季は、日本代表の指揮経験もある森清之氏をヘッドコーチに招くなどチーム強化に努めてきた。しかし春のオープン戦全5試合を終え1勝4敗と苦戦。9月10日に始まるリーグ戦に向けた課題を探った。
「スキルやフィジカル、取り組み方やプレーの理解など、あらゆるレベルが低い」。中央大学戦後の森ヘッドコーチのせりふが、現状を物語る。この試合をはじめライン戦で押し負ける一方的な展開が続いた。ファンブルなどのミスも続発しており、一人一人の実力不足ははっきりしている。
中でも力不足なのが攻撃陣だ。例年ランを中心とするチームだが、ランニングバックとして昨季まで主力だった宮山賢済選手、関野良樹選手が抜けて突破力が落ち、大きな前進が見込めなくなった。それでもパスは精度が低いため攻撃の主体にはできず、ラン一辺倒になるも読まれて止められるばかりで3試合目までタッチダウン0というありさまだった。
攻撃力がないと相手には失敗を恐れない攻めをされる上、守備には1点もやれないというプレッシャーがかかる。象徴的だったのが京都大学戦で、序盤は粘りを見せたものの、先制を許すと緊張の糸が切れたのか連続失点。一度流れが傾くと止まらず大敗を喫した。
結果を出すことが目的ではないオープン戦だが、その勝敗はリーグ戦と直結している(表2)。1部に昇格した06年以降、東大はオープン戦の勝率5割以下の年にリーグ戦を勝ち越したことがない。オープン戦は戦う相手やレベル、試合の位置付けが毎年異なるため一概にはいえないが、今年のリーグ戦が危ういことは明白だ。今の東大に逆境を跳ね返す力はあるのか。
「あらゆるレベルが低い」現状で、あえて課題を一つに絞るとしたらフィジカルだろう。オープン戦では、3部所属の防衛大学校に前半ランのみで10失点。遠藤翔主将(経・4年)は「ほとんどの部員が、食べて筋トレするという単純な答えを突き詰めてできていない」と話す。リーグ戦開幕までの間、どこまで基本に忠実に練習し力を伸ばせるか。リーグ戦の勝利はあと2カ月に懸かっている。
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この記事は、2017年7月11日号に掲載した記事を再編集したものです。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。
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