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2020年10月2日

【速報・東大総長選考】次期総長が藤井理事・副学長に事実上決定

 10月2日、総長選考会議が次期(第31代)東大総長予定者を、藤井輝夫理事・副学長(財務、社会連携・産学官協創担当)に決定した。総長選考をめぐって、過程の透明性について学内外から疑問の声が上がるという、異例の状況下での決定となった。藤井理事・副学長は、9月30日に教授会構成員による意向投票が実施された際、第1回投票で過半数を獲得。正式な就任には文部科学大臣の任命が必要で、任期は2021年4月~2027年3月の6年間を予定している。

 

 

第31代東大総長に就任予定の藤井理事・副学長(写真は東大本部提供)

 

 学内向けに公開されている所見で、藤井理事・副学長は「世界の誰もが来たくなるような『学問の場』を作ることが大学の運営・経営にとって最も重要」と指摘。運営・経営で総長に求められるのは「経営資源を適切に投入して組織能力を最大化し、構成員が活き活きと活動できる創造的な場となるような大学の在り方をデザインするとともに、国内外の諸機関ならびに産業界との間で信頼と信用に基づく組織的なパートナーシップを築くために『自ら行動する』こと」だとしていた。

 

 

 藤井理事・副学長は1964年生まれで、1993年に東大工学系研究科博士課程を修了した。博士(工学)。2007年から現在まで生産技術研究所(生研)教授を務める他、2015~2018年には生研所長を経験した。学内行政では総長補佐などを経て、2018年から社会連携本部長、2019年から理事・副学長。卒業生間のネットワークの強化や、ソフトバンクなどとの産学連携といった実績がある。2007~2014年には、生研とフランス国立科学研究センターの国際共同研究ラボの共同ディレクターも務めた。

 

 

 主な研究領域は自律性海中ロボット(AUV)で、ニューラルネットワーク(神経回路網を数式で表したもので、深層学習にも応用される)を用いたロボットの制御方式を考案するなどした。極小スケールでの液体の流れの特性を生かして、高効率なデバイスの実現を目指す、マイクロ流体工学も専門。AUVが海中の微生物などを検出・測定する上で必要なセンサーなど、広く応用されている。

 

 

 総長選考に際しては、第1次候補者が12人程度選ばれた後、一部の部局長や学外の有識者らによって構成される「総長選考会議」が、調査などを経て第2次候補者を絞り込む。第2次候補者は藤井理事・副学長の他、自治医科大学学長で東大医学部附属病院元病院長の永井良三名誉教授、染谷隆夫工学部長・工学系研究科長の3人だった。9月30日に実施された、教授会構成員による意向投票の結果を踏まえ、10月2日に総長選考会議が総長予定者を選んだ形となる。

 

 

 9月23日には田中純教授(東大総合文化研究科)ら教員有志が、小宮山宏・総長選考会議長(第28代東大総長)に宛てた、総長選考過程の透明性などに疑義を呈する質問状を公開9月25日には東大の元理事10人が、意向投票の延期などを求める要望書を提出していた。さらに東大の一部の学部長・研究所長らも、選考過程について詳細な説明を求める要望書を提出していたことが判明。しかし9月30日には予定通り、教授会構成員による意向投票が実施され、藤井理事・副学長が1回目の投票で過半数を得票した段階で終了した。

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