東大は2月6日、「東京大学における性的指向と性自認の多様性に関する学生のための行動ガイドライン」を策定した。
ガイドラインは、SOGI(Sexual Orientation and Gender Identity、性的指向と性自認)の多様性を尊重し、差別のない、より良いキャンパス環境の実現を目指して策定された。内容は「違反」や「罰則」を想定した「規則」ではないとした上で、SOGIに関して望ましくない言動や東大の制度面の対応、相談窓口などが示された。
ガイドラインでは授業や学生生活で想定されるSOGI関連の「障害」となる言動の例を挙げ(表)、個人の多様な属性への無配慮によって相手の尊厳を傷つけたり人権侵害をしたりすることが無いよう求めている。LGBTQなどの当事者が自身のSOGIを明かす「カミングアウト」は、誰かに強制されるものではないとし、当事者の同意を得ずに第三者に明かす「アウティング」は人権侵害であるとして慎むよう呼び掛けている。
SOGIの多様性に関連する制度面の対応として、授業での取り組みのほか、通称名の使用や性別変更について言及。自認する性に基づく通称名は、所属学部・研究科の事務窓口で申請することで変更可能。学籍上の性別は、法律上の性別を変更した場合を除き変更できないが、東大が配布する文書中の不要な性別欄の削除の周知徹底を推進する。このほか、授業中の性別による不必要なグループ分けや、「~さん、~くん」などの性別の区別がある呼称の使用を止めるよう推奨するとしている。
東大は2022年6月に「東京大学ダイバーシティ&インクルージョン宣言」を制定。「ダイバーシティ(多様性)の尊重」と「インクルージョン(包摂性)の推進」を柱とする基本理念を打ち出した。今回のガイドラインは昨年に起草され、修正のため昨年学内意見公募を行っていた。