ニュース

2014年9月17日

東大総長は、どのようにして選ばれるのか?

本年度で任期満了を迎える濱田純一総長に代わる次期総長の選考が、既に始まっている。7月8日に選挙が公示された。9月2日には代議員会が開かれ、第1次候補者の一部が選ばれている(結果は非公表)。次期総長には何が期待され、どのように選ばれるのか。6年に一度の総長選に迫る。(取材・編集部 石原祥太郎)

1_総長選考プロセス.jpg

選考の過程

次期総長は11月27日の総長選考会議で決定する。最終的には文部科学相の任命を受け、正式に就任する。

決定の過程は、7月8日の選挙公示で発表されている。基本的には濱田純一総長が選出された6年前の総長選から変更がない。

まずは第1次総長候補者10人程度が、研究科などの単位ごとに選ばれた代表者で構成される代議員会、および経営協議会の選出に基づき9月中に決定する。代議員会では、各代議員が候補者として適任と考える者2人以内を無記名で投票。得票者全員の氏名発表後、各代議員が全得票者から3人以内を選び、さらに投票する。得票数が多い10人程度に候補者が絞られる。

代議員会とは別に経営協議会を9月24日に実施する。経営協議会は2人以内を候補者として追加でき、計10人程度が第1次総長候補者となる。

第1次候補者は、総長選考会議による大学の将来構想や経営方針などの聞き取り調査を経て11月6日、第2次総長候補者として5人程度に絞られる。この段階で初めて、総長候補者の氏名が公表される見込みだ。

最後に11月27日に教授らの投票を経た後、投票結果を考慮し総長選考会議で次期総長予定者が決まる。

前回との違い

前回との最も大きな違いは、第2次総長候補者を1人に絞る過程にある。総長選考会議内規が改定され、「選挙を行わせ、その結果を考慮して総長予定者を決定する」との文言になった。

前回は、投票での当選者を総長予定者とする内規だった。有効投票数の過半数を得た者がいない場合はもう一度投票を実施。三度目の投票でも過半数獲得者が出なかった場合は、その投票の上位2人で決選投票に。その投票結果が同数の場合、くじ引きを実施する運びになっていた。

今回は過半数獲得者が出なかった場合に1回の決選投票までは実施される予定だが、くじ引きは実施されない。

投票結果以外に選考時に考慮されるのが、今回の選挙の公示に当たって新たに策定された「求められる総長像」だ。「東京大学憲章の掲げる目標・理念を尊重し達成・実現を追及する強い意志を持つこと」などが総長像として示され、これを踏まえた選考を実施すると発表されている。

次期総長から、6年の任期のうち3年の終了時など適切な時期に、中間評価を実施することも新たに示された。総長の解任の申し出の権限を持つ総長選考会議が、主体的に総長の大学運営を評価するためという。

次期総長候補者に求められること

次期総長の任期は、2015年4月~2021年3月の6年間。2015年4月からは4ターム制が導入されるなど、濱田総長が進めた改革の上で、総長を引き継ぐことになる。

2013年11月に文部科学省が発表した「国立大学改革プラン」では、大学運営での学長の権限を強めることを示している。2004年度の国立大学法人化以降学長の権限は強まっており、東大でも濱田総長からは任期が従来の4年から6年となった。

濱田総長が継続した改革路線を貫く候補者が選ばれるのか、それとも改革を落ち着かせる候補者が選ばれるのか。結果に注目が集まる。

タグから記事を検索


東京大学新聞社からのお知らせ


recruit

   
           
                             
TOPに戻る