五神真総長は4月17日、就任後初の記者会見に臨み、環境破壊など地球規模の問題の解決を主導する「知のプロフェッショナル」の育成が東大の最重要責務と語った。所信表明でこれまで進めてきた学部の教育改革を定着させつつ、国際的に通用する人材を育成する「国際卓越大学院」の創設など大学院の抜本的改革を進めると発言。今後の改革の目標を明確化した「東京大学ビジョン2020」を早期に発表するとした。
所信表明の冒頭で五神総長は、グローバル化が加速する中で地球規模の問題に人々が知恵を出し合い協力することが必要と主張。創設時から多様な知を生み出してきた東大での新たな知の創造と、世界で行動する人材の育成を目標とした。
その上で世界で行動する力を育てるため、学生の主体性を刺激する教育環境も整備すると発言。学生が研究の最前線で体験した知の興奮と喜びを糧に自己を成長させる主体的な学びを促すとした。本年度から導入された4ターム制、初年次ゼミナールなどの少人数教育、来年度から導入予定の推薦入試など学部の教育改革の定着を図ると述べた。
大学院に関しては「卓越性」「国際性」「文理融合」の三つがキーワードの国際卓越大学院の創設など抜本的な改革を検討。国際卓越大学院では東大が世界を主導できる学問分野などで修士課程2年・博士課程3年の一貫教育を行う。自ら考え、新しい知を生み出し人類社会のために知を利用できる「知のプロフェッショナル」を育成するとした。
また東大を世界の「知の協創」の拠点とすることを目指すと発言。文系・理系など既存の領域を越えた新しい学術の展開を推進することなどで、国境や文化といった壁を越えた人々が協働しての価値創造を促すとした。本部広報課によると「協創」には、社会と大学が協働し何かを作る思いを強めたいとの五神総長の意図が表れているという。
会見の最後には質疑応答がなされた。報道関係者の「推薦入試でどのような学生を求めるか」との質問には「既存の一般入試制度の枠に収まらない、ある学問分野に卓越した学生に受験してほしい」と回答した。
この記事は、2015年4月28日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。