藤井輝夫総長を座長に据えた東大の総長選考会議のワーキンググループ(WG)が、複数の制度改革案をまとめた最終報告書を発表した。同WGは昨年の総長選考から内部規則の変更により権限が強くなった総長選考会議のあり方について検討するために設立され、今年5月から計6回会合を開いていた。今後は最終報告書内で出された提案の実現に向け、役員会及び総長選考会議などにおいて規則改正や環境整備が行われていくことになる。
最終報告書では、総長選考会議が本来総長をけん制する役割を持っているのにも関わらず、総長の意向を反映させやすい仕組みになっていることを指摘。総長選考会議の学内及び学外委員の選出方法、適性、任期などの議題についての提案、その理由、対案などを主にまとめた。学内委員の選出に関しては、学内委員を選出する教育研究評議会のルールに従ったローテーションに基づき恣意(しい)が入らないよう実施する。またローテーションの方法についても公表し透明性の確保を図る。そして学外委員の選出については、「東大総長経験者は総長選考に関与させない」、「東大理事経験者は退職後6年間学外委員に就任できないようにする」など、総長選考会議から総長の意向を排除するために大きな改革案を提示した。
昨年実施された総長選考では第1次候補者の投票で最多票を獲得した候補者が第2次候補者から外されるなど選考過程の透明性や妥当性についての批判が集中。疑問を抱いた東大教員有志、元理事らが総長選考会議議長宛てに選考の一時停止を求める要望書を提出するなど大混乱となった。選挙後に設置された検証委員会は藤井総長の選出については正当としたものの、議長の発言などについては「妥当性を欠く」という結論を出していた。