本部企画課は15日、駒場Ⅰキャンパス21KOMCEE West地下1階レクチャーホールで「濱田総長と語る集い」を開催した。200人以上が収容できるレクチャーホールのほとんどが来場者で埋まり、終了時刻を延長して質疑応答の時間が取られるなど、盛り上がりを見せた。 (各スピーカーの話した内容の詳細はこちら)
濱田純一総長の意向で開催に至ったこのイベント。「学生と話し合う機会を設けたい」という強い意志により実施された。東大の現職の総長が、公の場で学生と話し合うイベントに参加するのは異例のこと。全体の司会進行は学生2人が務め、学生4人が登壇。質疑応答の時間には多くの学生が質問するなど、学生主導のイベントになった。
イベント冒頭、濱田総長は開会のあいさつで東大生に望むこととして、知的な力に加えタフさとグローバルさを挙げた。「世界のいろいろな知識やものの見方を自分のものにして、活躍してほしい」と話した。
さらに4ターム制の導入は学生が変わるための取っ掛かりにすぎないと強調。制度を利用した学生の主体的な活動を求めた。
続いて、永田敬副学長が教育改革に関して概況を説明。学事暦の変更と教育改革という東大の総合的な学部改革のうち、学事暦に焦点を当てて説明した。
タームの長さを最小限にすることで夏と冬に長い休業期間を作ったと解説。この期間に、大学が用意したプログラムなどを利用し、学生が自分で設計した活動に取り組んでほしいと述べた。
それから新学事暦など教育改革に関する説明を行った後、パネルディスカッションを実施。学生4人と濱田総長、その他に林香里教授(情報学環)、藤井輝夫教授(生産技術研究所)、矢口祐人教授(総合文化研究科)が登壇した。
パネルディスカッションでは、登壇者が自身の体験を基に新学事暦についての考えを語った。体験活動プログラムなどを担当している藤井教授は、4ターム制で海外留学だけでなく国内での活動も促すと説明した。一方で登壇した学生からは「情報発信が足りない」「制度だけが変わっても意味がない」「経済的な支援を」などの要望も聞かれた。
ディスカッション後の質疑応答の時間には多くの学生が挙手し、質問の機会を求めた。ほとんどが濱田総長に対するものだった。
最初の学生の質問は「4ターム制になると運動部などでは公式戦や合宿の日程で、文理の休みの違いが障壁になる。課外活動への配慮はどうなるのか」という疑問だった。その他にも「学生や教員の声が届いていないという不満が多いのではないか」「学生への説明責任があったのではないか」など、学生からの不満の声が目立った。
濱田総長は最初の質問に対し、現在は制度の大枠が決まった段階で、具体的な支障の解決についてこれから努力していく、と回答。学生や教職員の声も、アンケートやイベント、学部長などを通して意見を集めてきたと答えた。一方で「情報を学生に十分に届けられなかったことも認識している」とも述べ、情報発信が不十分であったことも認めた。
東京大学新聞社では、イベントの様子をツイッターで随時中継した。ツイッターのタグ「#UTsocho」を利用。多くの人がツイッターを通して会場外からもイベントに参加した。
ツイッターで寄せられた質問の中で目立ったのは、4ターム制などの教育改革が学生に通知されないままに実行されたことに対するもの。多くは会場でも質問に上がっていた。
イベントの最後には長谷川壽一理事・副学長(学生担当)が「ツイッターで参加してくれた諸君にも感謝します」とコメント。SNSを利用した点でも、東大にとって新たな試みとなったイベントとなった。各話者の要旨と、質疑応答はこちらにまとめた。
この記事は、2014年10月28日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。