スポーツニュース

2023年9月14日

【東大サッカー】企画目白押しの双青戦 一軍戦は主導権渡し敗れる

 ア式蹴球部は8月12、13日、京都大学体育会サッカー部を御殿下グラウンド(本郷キャンパス)に迎え、第72回双青戦を開催した。2日間にわたる双青戦では、両チームによる試合だけでなく、東大ア式蹴球部の卒業生による講演やキックスクールなど多くの企画が行われた。大会費はアビームコンサルティング株式会社など計3社をスポンサーに迎えて賄った。2日目の一軍戦では序盤から京大が主導権を握る展開となり、4ー1で敗戦。双青戦通算成績を東大の37勝16敗19分とした。(取材・園田寛志郎、安部道裕)

 

一軍戦は京大に完敗

 

 一軍戦は、Jリーグで歴代最多の516試合を裁いた家本政明主審を招き、キックオフ。試合序盤から、走力とパスの正確さに勝る京大がボールを支配し、9分、24分、27分と立て続けに3得点をあげ、試合の主導権を握った。

 

双青戦に招かれて笛を吹いた家本政明主審(撮影・園田寛志郎)
双青戦に招かれて笛を吹いた家本政明主審(撮影・園田寛志郎)

 

 後半から谷晃輔(経・3年)、陶山大晴(理III・2年)を投入した東大だが、京大のサイドからの攻めで51分にも失点。攻撃陣も京大の堅い守りに阻まれシュートシーンまでつながらずにいたが、62分、陶山が中央からゴールを決め、一矢報いた。その後、東大攻撃陣は試合終盤でも集中力を切らさない京大守備陣を崩すことができず、4ー1で京大が勝利した。 

 

後半、4点目のゴールを許し、肩を落とす東大イレブン(撮影・園田寛志郎)
後半、陶山が東大1点目のゴールを決める(撮影・園田寛志郎)

 

ア式蹴球部の集大成となった双青戦「10の取り組み」 

 

 東大ア式蹴球部は「日本一価値のあるチーム」になることを目的として掲げている。これは、単に「サッカーが強いチーム」ではなく、社会・サッカー界に責任を負う存在として、周囲から愛され、そして社会に貢献する先進的な人材を輩出できるチームを目指すということだ。「今回の双青戦は、価値のあるチームになるべく行ってきた近年の取り組みの集大成となった」と広報部の長谷川希一(養・3年) は語る。

 

 今大会での取り組み・企画は以下の通りだ。

①主審に元国際審判員の家本政明氏

②解説に細江克弥氏、北川義隆氏

③大塚製薬とのコラボレーションによる熱中症対策の呼び掛け

④小学生向け勉強企画

⑤小学生チームによるサッカーフェスティバル

⑥大学生向けサッカー大会の開催

⑦卒部生のキックコーチ・田所剛之氏による高校生向けキックスクール

⑧プロチームでテクニカルスタッフを務める卒部生の木下慶悟氏による講演

⑨キッチンカーの招待

⑩女子部による双青戦の初開催

 

 ①元国際審判・家本氏や、②ビデオ・オンデマンドサービス『DAZN』にて海外リーグの試合を多数解説している細江氏、北川氏の招待はサッカーファンにはたまらない企画だ。⑦田所氏は著書に『東大卒キックコーチが教える 本当に正しいキックの蹴り方』(日本文芸社)があるように、キックの専門家だ。高校生向けに実践的なスクールを行った。

 

 ④〜⑨は地域への還元を意識した企画だ。「地域に恩返しをすること、そして自分たちの活動をより良く知ってもらうことが、ア式蹴球部が地域から愛されるチームになることにつながる」と長谷川は話した。

 

一軍戦の開始前、子どもたちと記念写真に納まる東大・京大両チームの選手ら(撮影・園田寛志郎)

 

 今大会の東大側総括を務めた水本龍志(育・4年)は「様々な議論や準備を重ねて開催した今大会は、悪天候の上、(一軍戦の)試合結果も残念でしたが、600人を超える観客の中で無事開催でき、安心しています。次回大会以降への道しるべとなる2日間となったことを祈っています」と第72回双青戦を締めくくった。

 

 

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、双青戦を東京で開催するのは5年ぶりとなった。台風7号の接近で開催が危ぶまれており、一軍戦の試合中も雨が時折激しく降ったが、会場には600人を越える観衆が集まり、両チームの熱戦を見守った。1日目に行われた二軍戦は1ー0、三軍戦は2ー1で東大が勝利していた。

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