受験

2025年2月4日

【受験勉強と眠れぬ夜の処方箋】模範的東大生による健康で文化的な睡眠のすゝめ

 

 「受験には朝型が良い」「睡眠時間は7時間が適切」「睡眠を制するものは受験を制す」睡眠にまつわるさまざまな都市伝説を耳にしたことがある方も多いはずだ。だが、実際どうなのか。出身校も受験回数も異なる4人の編集部員が、自身の受験生時代の睡眠習慣について話し合い、見えてきた「教訓」とは。実体験に基づいた新鮮で興味深いエピソードが盛りだくさん。最後まで必読だ。(構成・丹羽美貴)

 

参加者

 

【美】(文Ⅲ・1年)

参加者で唯一の推薦入試組。睡眠でトラブルを抱えず受験期を過ごした安定感を買われ、1年生ながら司会に抜擢

【竹】(文Ⅰ・1年)

本企画の発案者。受験当日の睡眠トラブルをきっかけに後輩に自分の経験を伝えたいと願う、心優しき好青年

【眞】(法・3年)

徹底的な夜型の生活リズムで受験期を駆け抜けた。駿台、早稲田大学での2度の浪人生活で得た知見に期待

【桃】(理Ⅰ・1年)

受験期はオンとオフの切り替えを重視した規則正しい生活を心がけ、東大非進学校から見事現役合格

【条】(経・4年)

収録当日は昼寝から座談会への切り替えが上手くいかず、ベッドに寝転んだ状態からの参戦となった

 

睡眠負債のお支払いは計画的に

 

【美】早速ですが、まずは共通テスト(共テ)直前期の睡眠について聞いていこうと思います。

【竹】7〜8時間は確保してましたね。自習室が閉まる夜遅くまで勉強するのが好きで就寝も起床も遅めでした。

【眞】僕も夜型で午前1時や午前2時に寝て午前9時に起きてました。

【桃】私も睡眠時間は7時間弱だったと思います。逆に私は午前0時前に寝て、朝の6時半に起きてました。

【眞】早く寝た方が受験回数は少なくて済むのかな(笑)

【条】俺は直前期も学校があって、遠方から通学してたから午前7時前には起きてた。でもコロナの休校期間で生活リズムが壊れまくってて、就寝は午前2時とかだったかも…

【美】その睡眠時間で足ります…?

【条】睡眠時間は1時間半の倍数が良い、みたいな話を信じて4時間半寝るようにしてたかな。あと睡眠負債一括払いの皆さんとは違って、電車や教室で分割払いしてた。

【眞】学校の授業で睡眠は、もはやリボ払い(毎月一定額の金額を支払うクレジットカードの決済方式。総額が膨らむ傾向がある)じゃないですか(笑)?

【条】睡眠負債の返済に協力してくれた古典のおじいちゃん先生には感謝しかないよね。

 

試験前日は回り道を3km走りたくなる

 

【美】私が受験した学校推薦型選抜は共テの結果も加味されるため、めちゃくちゃ緊張しました。共テ本番の夜、皆さんは眠れましたか?まずは多重債務者の条さん。

【条】流石に本番はリボ払い睡眠じゃマズいな、と思って試行錯誤の末、前日に3km走れば午前0時前に寝られることに気付いた。前日は年間ベスト睡眠が取れたね。

【竹】僕は前日こそ眠れましたが、1日目の夜に想像以上の手応えで興奮状態になってしまい、1時間半しか眠れなかったのでうらやましいです。前日だけ走ったんですか?

【条】箱根駅伝の翌日から毎日だね。テレビの向こうから襷を受け取った感覚で(笑)

【桃】私は「明日は本番ではなく、模試だ…」と暗示をかけたおかげで、2日ともよく寝れました。ただ2日目の理系科目は踏ん張りどころだったので、緊張でご飯が喉を通らなかったです。

【眞】僕もあまり寝れませんでしたが、東大は2次試験が大事なので「共テは最低限8割で良い」と気負わないようにしてました。結局は逃げに限ると思います!

【桃】その結果、回り道をしたんじゃないですか?

【眞】あまり浪人組をいじらないで下さい…。

 

気温、騒音、アドレナリン、そして…

 

【美】次に2次試験当日の睡眠についても聞かせて下さい。実家組とホテル組の相違点なども知りたいですね。

【竹】実家組の僕は共通テストの反省を生かしてなんとか寝ようと試みたのですが、やはり1日目の夜は眠れませんでした…アドレナリンが出てしまうのか、いくら寝ようとしても寝られないのはつらかったですね。

【眞】僕も実家組ですが、1日目の夜は2時間も眠れなかったですね。浪人すると、これまでの記憶が頭に回ってきて寝られなくなるんですよ。

【桃】私はホテルに母と宿泊しました。共テから2次までの間は耳栓とアイマスクをつけて寝る練習を家で繰り返し、どのような環境でも寝られるようにしましたね。

【条】凄い準備力(笑)。俺もホテル組だけど、自分の服装に対して想像以上に部屋の暖房が想像以上に効きすぎたせいか、前日は暑くて3時間しか眠れなかった。前泊ではなく、前々泊するべきだったと後悔したよね。

【桃】実際、2次試験の日に泊まったホテルでは周囲で開催されていたイベントの音響が室内にも響いてきて、寝るのが大変でしたね。

【美】騒音、気温、アドレナリン。睡眠を阻害する三大要因ってことですかね。

【条】確かに。俺が受験期なのに深夜まで起きちゃっていたのも、アドレナリンが出まくってたからだろうね。

【竹】それは条さんの「誘惑に勝てない弱い精神」が原因じゃないですかね…

【眞】四大要因に増えましたね。

 

座談会の参加者。左上から時計回りに【条】、【美】、【竹】、【桃】、【眞】(撮影・丹羽美貴)

 

この段落をご服用の際は用法・用量をお守りください

 

【美】逆に睡眠に関するトラブルにどう対処、対策していましたか?

【竹】大前提として睡眠不足だとしても合格できるくらいの実力を備えるべきですよね。実際に効果があったのは「寝る場所を変えてみる」ことです。

【眞】試験中に実践できる対策として、僕は眠たくなったらお手洗いに行っていましたね(笑)。教室外の寒さが眠気には効果てきめんなんですよ。

【条】前の夜眠れなかった時は、最終手段としてエナジードリンク飲めば、午前の試験までは耐えられるよね。

【竹】緊急時に市販のビタミン剤を多めに摂取したことがありますね。(※)僕の場合、この方法で前の夜ほとんど眠れなかった共通テスト2日目の午前までは乗り切れたのですが、その副作用のせいか、午後には猛烈な吐き気や腹痛が襲ってきて…ひどい目に遭いましたね。

【美】途中から過剰摂取の危険性を訴える体験談みたいになってる……。

【竹】ひどい過ちを犯してしまったと反省しています。二度と同じような行為は取らないと神に向かって誓えますね。

【眞】神を前にしたかのような強烈なざんげ(笑)。桃さんも摂取系で乗り越えた?

【桃】私は吐き出し派でしたね。精神的につらく睡眠が十分に取れなかった時期は夜な夜な負の感情を書き殴っていました。

【美】自分の不安を吐き出すのは大事ですよね。私は推薦入試の前日に、口述試験の発表時間を3分長く勘違いしたまま準備していたことに気付いて、とても焦ったし不安だったんです。でも、家族や先生と話して気持ちが落ち着いて安心して翌日に臨めたことを思い出しました。

【条】ちなみに【竹】くんもビタミン剤の用量を3錠多く勘違いして飲んじゃったのかな?

【竹】いや、あのときは用量を理解していたけど、多めに摂取しましたね。(※)

【条】せっかく「勘違いでした」で逃げるチャンスだったのに(笑)。やっぱ意図的だったんだ。

【美】まあ正直なのはいいことなんじゃないですか。意図的でしたけど。

【眞】受験も最後は正直者が報われますからね。意図的でしたけど。

(※)薬剤の用量を守らない使用は命に関わります。絶対に真似をしないで下さい。

 

【参加者の睡眠事情まとめ】

 

受験生の皆さんはこんな記事を読まずに寝ましょう

 

【美】皆さんの個性的なエピソードをたくさん聞いたところで、最後に読者に応援メッセージをお願いします!まずは竹さんから。

【竹】「意図」を感じる指名順ですね。合格体験記とかを読んでると、自分には真似できない…と落ち込みがちですが、自分に合った生活リズムで最後まで進んでください。

【条】人間は多少睡眠時間が変わった程度でどうにかなる生き物でもないし、そもそも当日に最高の状態で受験に臨める人はそう多くないと思います。まあまとめると「薬物乱用ダメ、絶対」というところですね。

【眞】個人的に試験間の休み時間に、少し休息を取るだけでもかなり体力回復には役立つと思います。夜に寝られなかったからといって焦らず、ベストを尽くしてください!

【桃】やっぱり睡眠はメンタルに影響されやすいのは受験期を通して経験したことです。気分が落ち込んでしまうこともあるけど時には、強気な気持ちも大切です!

【眞】まあ正直受験生には、こんな記事を読む時間があれば睡眠に回して欲しいですよね(笑)

【一同】間違いない。

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