2018年度進学選択での制度変更が、本部学務課への取材で明らかになった(図1)。第2段階では志望できる学科数の制限がなくなるほか、定数を増やすことで定数以上の内定者を出さなくすることも予定。さらに第1志望・第2志望など志望順にかかわらず、内定可能な学部・学科のうち最も志望順位が高いところへ内定できる仕組みを導入し、志望順位による不公平をなくすという。(取材・関根隆朗)
進学選択調整部会長の相田仁教授(工学系研究科)によると17年度進学選択では最大3学科まで可能だった第2段階の志望登録が、18年度では無制限に行えるようになる。学部をまたいだ志望も認め、理論上全学部・全学科へ志望登録することも可能になるという。
内定者の決定方法も変わる。従来第2段階では、第1~3志望を登録し、まず第1志望者から内定者を決定、続いて第1志望者で埋まらなかった分の定数を第2志望者で充足、それでも埋まらなかった分を第3志望者から内定させていた。第1志望で定数が埋まると、第1志望の内定者より成績が良いにもかかわらず第2志望で内定できない場合があり、第1~3志望をどの学部・学科に登録するかで同じ点数でも行ける学部・学科が変わる「博打的側面」(相田教授)が問題視されていた。
18年度進学選択では「受入保留アルゴリズム」という仕組み(図2)を用い、各学部の志望者のうち評価順位の上位者から内定し、全志望者が自分の内定可能だった学部・学科の中で志望順が最上位のものに内定できるようにするという。これにより、成績下位者が上位の人を差し置いて内定することがなくなる。学生が他の志望者で定数が埋まることを恐れ、本来の第1志望ではない学科を第1志望に登録するなどの「博打的」な志望登録ではなく、本来の希望学科への志望登録を行うことを狙う。
各学部・学科の定数を現状より増やし、定数と同数までしか内定者を出さないようにもなる。現行制度では、多くの学部・学科が定数を超えて内定者を出しており、人数決定の不透明性が問題視されていた。例年定数を超えて内定者を出していた医学部医学科、逆に定数割れを続ける法学部などの対応に注目が集まる。
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18年度進学選択は、今年3月にも変更点が教養学部から発表されていた。必要単位数より多く取得した科目について成績への参入比率「重率」を下げる「追い出し」が全段階で復活。17年度進学選択は2S1タームまでの成績を用いて実施したが、18年度は2S2タームまでの成績を用いる。
教養・工・理・農学部の一部学科は重率を科目に応じて調整し、科目の重要度に差を付ける。工学部は全学科で10点満点の「工学部評点」を用いて独自に成績を算出。工学部システム創成学科の第2段階、農学部の第1・第3段階では平均点に単位数をかけて成績を算出するため、単位を取っただけ成績が良くなる。
単純平均と異なる尺度を導入することで、点数ではなく順位による内定者決定となるため、各学科内定者の最低点を公表する現行制度に代えて、学科志望者中の順位を志望者へ通知することも検討。「『進学内定者数・基準点・最低点一覧表』の公開の有無を含め、関係部署と公開方式を調整中」だという。
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この記事は、2016年11月1日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。
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