東大新聞がここ数年、一貫して追ってきたテーマに入試改革がある。英語民間試験や共通テストの記述式問題などをめぐる、東大や文部科学省の決定を逐一速報。最新の動向を追いながら、有識者への取材を通して、決定に至る内情や改革の問題点なども発信してきた。
昨年11月に導入延期が決まった英語民間試験の問題点を端的に整理しているのは、記事「英語民間試験利用反対 国会請願の審査未了」だ。昨年6月の、民間試験利用中止を求める署名運動の呼び掛け人となった羽藤由美教授(京都工芸繊維大学)に取材。二つの大きな構造的欠陥を中心に、16項目にもわたる課題を挙げていく。
東大入試で、民間試験はどのように利用されるのか――注目が集まった2018年には、記事「英語民間試験の必須化に待った それでも「受験の先を見すえた4技能習得を」」「理事が明かす英語民間試験を巡る決定の舞台裏 検討の契機は相次いだ出題ミス」で福田裕穂理事・副学長を直撃。この取材で聞き出した受験生へのメッセージは、記事「【受験生応援2019】入試担当理事が語る、東大の求める学生とは」に掲載し多くの受験生の注目を集めた。さらに、高校や教養学部英語部会など、さまざまな教育現場から東大の決定への反応を集めた記事「東大の決定「ありがたい」 英語民間試験 教育現場、負担の少なさ歓迎」も公開。多角的な分析を読者に提供した。
入試改革で問われたのは民間試験だけではない。共通テストの記述式問題を巡っては、記事「政策担当者の国語観の貧困を問う 高校国語新テストの問題点」を掲載している。試行調査の問題を引用しながら、学習指導要領の大幅改訂にも通底する「国語教育の危機」に紅野謙介教授(日本大学)が警鐘を鳴らす。
共通テストでの民間試験利用延期が決まった翌月の昨年12月には記述式問題の導入見送りも発表され、共通テストを巡る議論は一気にしぼんだ。しかし、東大新聞はその後も取材を継続。記事「実態に即した議論が不足 入試改革の混乱を振り返る」では、民間試験利用の推進派・反対派双方の論客が一連の経緯を振り返る。初めての共通テスト実施を来年1月に控え、東大新聞は今後も入試改革に関する情報発信を続けていく。