東大に入学する学部生約3000人のうち、女子学生は毎年2割に満たない。2019年春には、上野千鶴子名誉教授の入学式での祝辞が、2020年初めには「東大女子お断りサークル」が、世間で大きく報じられたのは記憶に新しい。
東大における「ジェンダー」の問題に、東大新聞は斬り込んできた。記事を通して、新入生とともに、東大の抱えるジェンダーの問題について考えていきたい。
2019年4月12日、日本武道館で行われた入学式での上野千鶴子名誉教授の祝辞は、東大の抱えるジェンダーの問題を提起するものであった。東大の女性構成員の割合の小ささや、「東大女子お断りサークル」を例に挙げ、東大にはびこる「あからさまな性差別」を批判した。
上野名誉教授の祝辞を受け、東大新聞では、アンケート調査を実施。祝辞を依頼した東大の執行部の問題意識を問うたり、上野名誉教授へインタビューを行ったりと、検証を続けてきた。
ここで例に挙げられたジェンダーの問題は、東大新聞で過去に扱っているものであったのだ。
東大では、学生も教員も女性構成員の割合が小さい。いずれも、毎年2割に満たないのが現状である。
東大本部もこれを問題視し、実家からの通学時間が90分以上の女子学生への家賃補助を始めた。その意図とはいかなるものなのか、東大総長にたずねたり、家賃補助を受けて実際に東大で学んでいる学生の本音を探ったりと、ここでも検証を重ねた。
男性が圧倒的多数を占める東大において、女性研究者にとっての「働きやすさ」の現状は一体どのようなものなのかと迫った。取材では女性研究者の厳しい現状に直面し、男女構成の格差の現状の考察や是正に向けた取り組みを東大の執行部に直接ぶつけた。
「東大女子お断りサークル」の実態の調査に乗り出したのも、東大新聞だ。当該サークルの構成員の他、東大女子へのアンケート調査を行い、前期教養課程の人気授業「ジェンダー論」を受け持つ、総合文化研究科・瀬地山角教授へもこの問題について聞き取り、考察した。
書店でも平積みが当たり前、東大教員らの書評が新聞に多数掲載、新書大賞2020第7位と話題沸騰中の『女性のいない民主主義』(岩波書店)の作者である、法学政治学研究科・前田健太郎准教授へのインタビューも実施した。留学生と編集部員が一体となって記事を企画、執筆し、日英2カ国語で東大新聞オンラインに掲載。政治から見た日本のジェンダーの課題と、ジェンダー教育の意義について掘り下げた。
編集部員から新入生へメッセージ
東大の女子学生比率が2割を下回ることを、新入生の皆さんはどのように捉えているでしょうか。「ジェンダー」という単語は耳にしたことがあるかもしれません。「ジェンダー」を知るのはもちろんのこと、東大にはまだまだ調査、検証を重ね、提起していかなければならない問題が山積みです。それらの問題を、記事を通して多くの人に「伝える」のが東大新聞の使命だと考えています。
東大の構成員の一人として、ジェンダーの問題に目を向けて見ませんか。身近なところにある問題に気付いたあなたの視点が、「伝える」テーマとなって生きるものなのです。編集活動を通して共に学び、伝えていく新入生をお待ちしています。
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