東大教養学部オリエンテーション委員会(オリ委員会)は3月末から4月初頭に実施される新歓行事のうちテント列とサークルオリエンテーション(サーオリ)、オリ合宿の三つの中止を決定し、1月末に関係者に通達した。いずれも2年連続の中止。代替としてオンラインの行事を開催する予定で、4〜5月ごろにはサークルなどの新歓行事の対面開催を目指すという。一方、前期教養課程の学生有志は対面での新歓活動実施を求める署名活動を展開している。
(取材・中野快紀、情報は5日午後6時現在)
新歓行事の企画・指導・調整を行うオリ委員会は1月29日などにサークルやクラスなどの担当者を対象とした会議を開催し、テント列など三つの行事の対面実施中止を通知。このうち新入生の諸手続き日に合わせてサークルなどが新歓活動を実施するテント列と、学部ガイダンスに合わせてサークルなどがブースを構えるサーオリについては、太田邦史総合文化研究科・教養学部長からオンライン実施を求める要請を受けたと説明した。3月以降はオンライン中心の活動を実施しながら、4〜5月中に対面の行事を分散開催することを目指すという。
クラスのオリエンテーション活動はオンラインと対面の併用を目指す。クラスごとに上級生と1泊2日の旅行を行うオリ合宿は中止が決定。一方、例年新入生の諸手続き日に合わせて行う上級生との顔合わせや、オリ合宿に向けてクラスの親睦を深めるための「プレオリ」は対面での開催を予定している。ただ、サークル、クラスのいずれについてもオンライン行事の詳細は検討中で、各サークルやクラスの担当者には柔軟な対応を求めている。
オリ委員会が通知した3イベントの中止は2年連続となる。昨年は2月29日にオリ合宿の中止を通知。テント列とサーオリについてもそれぞれ3月12日、25日に中止が発表された。また3月25日には太田学部長がキャンパスでの課外活動や新歓活動の禁止を発表。夏季休業まで対面での課外活動が制限されていた。夏季休業以降は感染対策を講じた上で構内での活動が許可されていたが、緊急事態宣言再発出などに伴い、1月11日以降再び禁止となっている。
学生有志署名活動「コロナ禍だからこそ対面で」
新型コロナウイルスの新規感染者再増加で3月以降の状況が不透明な中、前期教養課程の学生有志「新歓を対面で再開する会」は1月末から対面新歓実現に向けた署名活動を展開。教養学部学生自治会理事会と教養学部等学生支援課に春の新歓活動の対面実施への協力を求める請願を提出予定だ。ウェブ上で賛同者の署名を呼び掛けており、取材した3日の時点で100筆ほどが集まっているという。
同会の金子健さん(文Ⅰ・1年)は活動のきっかけを「昨年対面の新歓がなかったことで、Sセメスター中は憂鬱な気分だった。学生の意見を理解しているのか分からない学部にも不信感が募った」と話す。代表の高宮明里さん(文Ⅰ・1年)も緊急事態宣言発出下に前期教養課程の対面試験が実施されたことを受け「強硬に実施した対面試験は密であり感染対策が万全だったとは思えない。では感染対策を徹底するならば対面での新歓も許されて良いのではないか」とした。
オリ委員会は4〜5月中の対面行事開催の方針を表明しているが、金子さんは「コロナ禍はまだ続くだろう。だからこそ『自粛生活』に備えて人間関係をつくる機会を用意しなければいけないのでは」と対面新歓の意義を強調。署名活動がその後押しとなることへの期待をにじませた。加えて、団体種別による活動制限の差の存在などを挙げ「新入生に不平等を味わってほしくない」と述べた。
請願への署名は新歓を対面で再開する会のウェブサイトから。署名には名前や所属、メールアドレスの記入などが必要。
同会はTwitterでも告知などを行っている。Twitterアカウントはこちらから。