新型コロナウイルス感染拡大に伴って対面のガイダンスが中止になるなど、Sセメスター後に進学選択を控える学部2年生や学部は例年と異なる状況に置かれている。本号では二つの学部の対応や、担当者の声に迫った。
(取材・中野快紀)
進学選択は、前期教養課程に所属する2年生が、自らの志望と2年次Sセメスターまでの成績に基づいて後期課程の所属先を決める制度。進学選択に先立ち、例年4、5月には各学部から推薦され講師として招かれた東大教員らが進学選択の体験談などを話す「進学選択シンポジウム」や、各学部主催のガイダンスが実施される。
しかし、今年は新型コロナウイルス感染拡大を受けて、いずれも対面での開催を中止。進学情報センターが主催する進学選択シンポジウムはオンラインでの開催となった。各学部のガイダンスは学部によって対応が異なっている(表)。
理学部は5月7日に学部全体で、8〜19日には学科単位でオンラインのガイダンスを実施。それぞれの回に教員が出席した。東京大学新聞社の取材に対し理学部の担当者は、チャットを使用した分質問が例年より多かったという点で手応えを感じられたと回答。参加者は例年に比べて1.5〜5倍に増えたという。
対面のガイダンスに比べ学生が得られる情報の質が決定的に異なるとともに、学生の反応を得られない分、教員側も学生が本当に知りたいことを伝えるのは難しいと指摘する声が上がった。一方で学科の担当者からは「個人的にはガイダンスはオンラインで十分かと思う。対面で全てを伝えるよりは、少し足りないオンラインの方が、熱心な学生のもっと知りたいという意欲に火をつけるのではないか」という意見もあった。
文学部はガイダンスを主催していない。教務係の担当者によると、例年ガイダンスは各専修課程の教員がブースを設けて行う学生とのやりとりが中心であるため、学生と教員の密なやりとりが難しいオンライン開催はふさわしくないと判断したという。ガイダンスで配布する予定だった資料は文学部のウェブサイトで公開し、学生から各専修課程への質問にはメールで対応した。学部として追加の対応は20日時点では予定していないものの、各専修課程単位では情報提供に努めていくという。実際に日本史学専修課程では21日、研究室のオンライン見学会を開催した。文学部としても、各研究室のウェブサイトを確認するように呼びかけている。
後編はこちら。
【記事修正】2020年6月8日8時31分 第1段落の進学選択シンポジウムの説明を修正しました。
この記事は2020年5月26日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を掲載しています。
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研究室散歩:@歴史学 大塚修准教授(東京大学大学院総合文化研究科)
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キャンパスのひと:河野麗さん(工・4年)
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