東大は8月17日、凸版印刷、パナソニック、日立製作所、ミライズテクノロジーズと共に、最先端の半導体技術をサービスとして提供する「先端システム技術研究組合(Research Association for Advanced Systems、略称RaaS)」を設立した。豊富なデータでさまざまな課題を解決する「データ駆動型社会」に必要な専用チップの性能と開発効率の向上に取り組む。
デジタル情報技術の進展のためには、現実空間と仮想空間をつなぐデータの活用が必要となる。そこで、インターネットに接続したIoTデバイスで計測・検知したデータを次世代通信規格「5G」で集め、AI技術で高度な分析を加えてサービスとして提供するシステムが求められている。システムを実現するためのデジタル技術は、安く高性能であるだけでなく、早く提供されることも重要だ。しかし、データ駆動型社会を支えるシステムに必要となる専用チップの開発には、多大な費用と年月を要することが課題となっている。
RaaSでは専用チップの開発効率を高めるため、ソフトウエアに比べて設計が難しいハードウエアである専用チップの設計を一般に公開。ハードウエアの実装と修正を短期間で繰り返しながら専用チップを開発する「アジャイル設計手法」と呼ばれる自動設計手法も研究開発する。これにより、誰でも最新の半導体技術を使えるようになることが期待される。加えて、エネルギー効率を10倍高めるという目標を設定。その達成のため従来のチップでは平面的に配置されていた回路を立体的に配置する「3次元集積技術」の研究開発を進める。
この記事は2020年9月1日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を掲載しています。
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