東京大学大学院情報学環・学際情報学府の構成員を中心に、多様な学生が芸術作品を公開する、東京大学制作展「Kyolibration」が11月19~23日にオンラインで開催されます。運営に携わる学生に、イベントの概要について寄稿してもらいました。
(寄稿=日比杏南)
11月19日から23日までオンライン上で東京大学大学院情報学環・学際情報学府主催の東京大学制作展「Kyolibration」が開催される。文理の垣根を超えた横断的な作品約13点が公開予定。
22回目の開催となる今回のテーマは「Kyolibration」(キョリブレーション)。機械の偏りを計測し調整する行為である「キャリブレーション」と、コロナ禍で変化した人々の身体的、精神的「距離」とを組み合わせた造語で、日常に生じる物理的、心理的距離にちなんだ作品が公開される。今回の記事では公開予定の作品群のなかから数点を紹介する。
【作品情報】
「offline on line」
スマートフォンの画面越しに、誰かの指とコミュニケーションすることができるインタラクティブな作品。
ーー画面を人差し指で触れると誰かの指が現れ、あなたの指の動きに合わせて動く。しかし時には、誰かの指はあなたの指とは異なる動きをすることも。画面に映る手は虚構に過ぎず、触れ合う中で画面の中に誰かの存在を感じる瞬間があるかもしれない。画面の内側と外側、自己と他者、それぞれの距離の変化を感じることができる作品となっている。
「Home_Gallery」
コロナ禍で社会とのつながりから隔離し人を保護する「Home」と非言語的対話が生じる「Gallery」それぞれの要素をハイブリッド化した遊び空間と同時に、社会的なつながりのあらゆる可能性を想像する作品。
ーー作品の核心、同空間・非同空間の「存在」は、記号的に抽象化した存在と考えられ、存在と環境の関係、存在の顕在・潜在化の思考のきっかけとなるのだろうか。空間にアクセスした体験者が球体鏡になり、独自な「カラー」が与えられ、周りを反映する「存在」となる。体験者は与えられた「カラー」を知らず、第一視点から自らの「カラー」を当たるよう空間を探索し、他者を観察する同時に他者の存在を映し出す「存在」となる……。
「確率であそぼ、」
体験者と数学の間にある距離によらずにそれぞれの楽しみ方で数学と遊べる作品。
ーーあなたは数学にどんな距離を感じるだろう? 好きだから近い、苦手だから遠い……。「日常生活は数学にあふれてる」と言うけれど、どこに隠れているのか? 同じ誕生日の人がいる確率はどれくらい? 計算で求めた確率は本当に正しいのか? 解答用紙では数行の計算式でも。だが遊んでみれば意外な奥深さに出会えるという題材。遊んだあとには、種明かしページに飛んで全ての謎を明らかにしていただきたい。年齢制限も必要な知識もない。ただ楽しく遊ぶ、その気持ちだけは大切にしてほしい作品。あなたと数学との距離が、少しでも近づくことを願って。
「#FiK握手会」
アイドルとファンの関係性はさまざまだが、ファンはファンに過ぎずその一線を越えることはできない。この作品はそんなアイドルとファンの間にある「何か」を教えてくれる作品。
ーー「アイドル」と「ファン」との関係性、それは応援される者と応援する者、恋される者と恋する者、お金を受け取る者と払う者……etc.しかし「アイドル」ではない大半の人間は「ファン」にしかなることができない。だって特別な人だけが「アイドル」になるからこそ「アイドル」と「ファン」の関係性が生まれるから。だけど、もし誰もが「アイドル」の立場になって、この関係性に入ることができたら、「アイドル」と「ファン」との関係性に新しい見方が生まれるのではないか。「ファン」という存在に対して「アイドル」を演じながら向き合うことで、「アイドル」と「ファン」の関係における歪(いびつ)さ、虚しさ、面白さを発見してほしい。
上記4点以外にも多くの作品を公開予定です。以下の東京大学制作展公式ホームページのリンクよりぜひご来場ください。
【開催情報】
・場所:オンライン開催
・対象:全ての方
・事前申し込み:不要
・参加費:無料
・イベント情報URL:東京大学制作展 2021
・主催:東京大学大学院情報学環・学際情報学府
・SNS:
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