東大は12月15日、2016年に学部生を対象に実施した学生生活実態調査の結果を公表した。今回の調査では、東大入学の際に進学先を決めない学生やカリキュラムに不満を持つ学生の増加、就職を希望する職種として大学での研究職の人気が下がり、技術職の人気が上がっていることなどが明らかとなった。
東大入学時に進学する学部や学科を決めていたかについての質問では、「決めていなかった」が51.5%と、進学学部・学科を決めずに入学する学生の割合が今回初めて半数を超えた。「学部のみ決めていた」は27.9%、「学科等まで決めていた」は20.5%。進学選択制度などに学生の志向が適合してきている傾向が見られる。
大学への要望に関する質問で「とても期待する」「期待する」を選んだ項目として最多だったのは、前回同様「図書館の充実」で79.1%。前回調査で3位だった「授業の方法の工夫・改善」が78.4%で続いた。他に「施設整備の充実」「カリキュラムの改革」も7割以上の学生が要望に挙げており、教育面や学内設備の改善を求める声が多い。特にカリキュラムは満足度を問う質問で「満足している」「まあ満足している」の合計が前回比12ポイント減で13年ぶりに50%を切るなど、東大の現在の方針に対して不満が高まっている。
アルバイトをしている学生の割合は全体の86.8%と前回比で8.3ポイント増加し、種類別では「塾講師」39.6%、「家庭教師」24.6%の順に多かった。アルバイトの目的に関する質問では低所得層の学生が「生活費を稼ぐため」、高所得層の学生が「学生生活を楽しむため」と答える傾向があり、所得階層により目的に大きな差があった。
学部卒業後の進路予定は「進学」が49.9%、「就職」が33.6%だった。文理別では文系の就職希望者が65.5%だったのに対し、理系では進学希望者が69.6%。文理で進路予定が大きく異なる傾向は前回同様だ。進路予定を男女別に見ると、「進学」は男子が女子より8.7ポイント多く、男女差が前回より2.0ポイント拡大。「就職」は女子が男子より12.5ポイント多く、男女差が前回より5.3ポイント拡大した。
希望の職業について、部門別では「民間企業」の回答が最多で57.0%、「公務員」が28.2%で続いた。職種別に見ると前回2位だった「企業等の研究職」が17.0%で最多、前回4位だった「技術職」が15.9%で過去30年で最高の2位となった。前回最も多かった「大学・公的機関の研究職」は14.9%で過去1430年で最低の3位に順位を落としており、1990年代前半に約30%を記録して以降減少傾向が続いている。文理別では文系は「専門職」17.8%、理系は「企業等の研究職」27.4%が最多で、その他の希望職種の傾向でも大きな違いが見られた。
学生生活実態調査は毎年1回行われ、今回で66回目。08年調査から学部生と大学院生が交互に調査対象となっている。今回は学部生の4分の1を無作為に抽出したうち36.6%の3325人から回答を得た。
この記事は、2018年1月16日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。
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