玉井克哉教授(東大先端科学技術研究センター)の研究室は9月30日、先端研究情報の流出などの課題に対処するため、「経済安全保障研究プログラム」を立ち上げた。各国の研究情報管理に関する政策・法制を把握し、大学や企業からの情報漏えいといった経済犯罪の危機管理策を研究する。
米国と中国の対立で国際秩序が変化する中、経済と先端技術が安全保障上、重要になりつつある。米国が中国の通信大手華為技術(ファーウェイ)との半導体などの取引を禁止し、排除しようとする動きはその一例だ。
30日に実施した初回の研究会では、公安調査庁の和田雅樹長官を呼び、各国の政策と日本で知られていない課題について議論した。今後も外部の有識者を交え、産業構造やビジネスモデルなどの観点からの分析を進める。不足が懸念される経済安保の研究者育成も視野に入れる。
プログラムは、東大の研究者が意図せずに情報漏えいに巻き込まれることがないよう、学内の研究室への啓発を通じて、情報管理意識の向上を図る。各研究室の情報管理体制にも関わる。