東京大学大学院・情報学環の佐倉統教授の講演が、4月20日(月)にある。
現場で活躍する科学者やエンジニアを講師に迎えて、セミナーとディスカッションを行うSCHOLAR.professor。研究開発や新規事業開発を担当する企業関係者や、アカデミックに活躍する研究者とが交流を深め、価値創造プロセスそのものを革新することを目指している。
第4回となる次回は、東京大学大学院・情報学環の佐倉統教授が登壇し、進化生物学から見た「人と機械をつなぐ方法」について語る。
量がある程度増えると、それぞれの個体が持っていた性質からは予測できないような振る舞いを始めます。現在の情報通信社会におけるデータ(量)の爆発は「第三の人工知能(統計処理による機械学習の精度が劇的に向上)」あるいはドイツを発端とする「インダストリー4.0」ブームなどとして「結実」したとも言えるでしょうし、「道具が(人の意思とは無関係に)勝手に歩き始めた」という感覚を持ち始めている人もいるでしょう。
こうなってくると、私たち「人」としては、これから新しい事業を立ち上げようとするときに、今までと同じような考え方で「人と機械を接続する方法」を捉えていては問題がありそうに思えてきます。「便利ならなんでもよいということはどうやらなさそうだ」ということにはみなさんがすでにお気づきのはずです。
人はどこまでいっても、地球上に生息する「生身の生命」です。気の遠くなるような年月を経ての進化はしているのですが、昨今の、機械を含めた環境の変貌には追随できていません。深刻なギャップが今まさに生じていると感じています。
今回は、機械との協調行動も含め、私たちが今後どんな価値創造を行っていくべきか、みなさんはどんな事業を創造していく「べき」かについて、進化生物学の観点から私なりの考察を披露させていただき、またみなさんとのディスカッションを楽しみたいと思います。
【スピーカー】
佐倉 統(さくら おさむ)
東京大学大学院 情報学環 教授1960年東京生まれ。京都大学大学院理学研究科博士課程修了(理学博士)、三菱化成生命科学研究所、横浜国立大学経営学部、フライブルク大学情報社会研究所などを経て2007年より現職。進化生態学・霊長類学を専門とするが、生物学史・脳神経倫理学・科学技術社会論なども含めた研究活動を展開中。『現代思想としての環境問題』(中公新書)、『進化論の挑戦』(角川書店)、『進化論という考えかた』(講談社現代新書)、など著書多数。近著に『人と「機械」をつなぐデザイン』(東京大学出版会)、『便利は人を不幸にする』(新潮社)などがある。
第4回「SCHOLAR.professor」についての詳細は以下のとおり。
【開催日時】
2015年4月20日(月) 19:30~22:00(開場19:00)
【会場】
devcafe@INFOCITY(渋谷区神宮前5-52-2 青山オーバルビル16F)
【受講料 特別割引】
東京大学新聞オンラインの読者には、通常5,000円のところ、申込フォーム(詳細はこちら)で「一般・ゲスト参加」を選択した上、秘密のコードを入力すると、「研究者の卵割」と同額の3000円(税込)で参加可能です。
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(文責 須田英太郎)