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2017年6月16日

東大医学系研究科・笠井清登教授ら、統合失調症患者に神経伝達異常を確認

 笠井清登教授(医学系研究科)らは、統合失調症などで脳内の電気信号を制御するグルタミン酸系神経伝達に異常が生じていると示唆する研究結果を明らかにした。成果は5月23日付の英科学誌「サイエンティフィックリポーツ」(電子版)に掲載された。

 

 統合失調症の原因は、グルタミン酸を放出するN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体の機能低下だとする仮説が提唱されている。統合失調症患者はNMDA受容体の機能を反映し、逸脱音に対して生じる脳波であるミスマッチ陰性電位(MMN)の振幅が低下することも知られる。しかしこれまで、仮説の妥当性を高めるMMNとグルタミン酸濃度の相関は調査されていなかった。

 

 笠井教授らは、統合失調症患者と健常者らに音刺激を与え、長い逸脱音に対するMMNであるdMMNの振幅や血漿(けっしょう)グルタミン酸濃度などを測定。健常者と統合失調症患者で二つの値の相関がみられ、統合失調症患者のグルタミン酸系神経伝達異常を確認した。

 

 相関は一部の精神病患者のみにみられる。今回の研究は、相関がありNMDA受容体機能が低い患者への製薬に応用が期待される。


この記事は、2017年6月13日号に掲載した記事を再編集したものです。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

 

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