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2016年12月15日

東大生を中心とする学生劇団「ささくれ(劇)」が旗揚げ公演第3弾を開催

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公演のチラシ(画像はささくれ(劇)提供)

 

 東大生が中心の学生劇団「ささくれ(劇)」は、17~20日に旗揚げ公演第3弾『パレードを待ちながら』を駒場Ⅰキャンパスで開催する。カナダの脚本家ジョン・マレルが書いた、第2次世界大戦末期を生きた女性5人の物語を潤色。10月からの3カ月連続旗揚げ公演の最後を飾り、駐日カナダ大使館の後援を得ている。

 

※編注:18日の公演が中止になったため、一部文言・表を修正しました。

 

 

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潤色・演出を務める瀧川陸さん(農・3年)のコメント

――ジョン・マレル原作の『パレードを待ちながら』を潤色の題材に選んだ理由は

 『パレードを待ちながら』は戦時中のカナダを舞台とした作品なのですが、一読したときに素直に興味深いなと思いました。日本の戦争を取り扱ったものと明らかに手触りが異なっていたからです。もちろん国が違えば当時の立場も違いますから当たり前ですが、一言で言うと「遠い」んですよね。この戯曲には女性しか出てこないのですが、女性それぞれに生活がある。彼女たちは戦争にはいかないのです。まわりの男たちが出かけていく。ほんとにすこしだけ、『この世界の片隅に』にも似てるかもしれない。「戦争もの」なのに「戦争もの」らしくない。そこが決めてだったかもしれません。

 

――潤色の際に工夫した点は

 そもそも戦時中の話を1945年生まれのジョン・マレルが1977年に書いた本を、2016年に我々が上演するわけで、しかもその場所がきちんとした劇場ではなく学生会館なわけで、ただそのままやるのは少し厳しいところがあります。

 だから、今回はとりあえず「遠い」ということを手がかりにしてみようと思いました。僕にとっては戦争ってすごく遠くて、少なくとも僕の肌にそった言葉ではなくて。やはりそれもある種「遠い」だと思うし、そういうことをよく考えました。ただ、戯曲のもともと持つよさをつぶしてるようではダメなので、いかに戯曲の幅のなかに自分たちが今上演する意味をのせていけるかが大事だなあと。正直予想より苦戦してますけど(笑)。

 

――本公演で、見る人にどのようなことを伝えたいですか

 特定の一つのものを伝えたくて演劇をしているわけではないので、特に伝えたいことはありません。もちろん、色々な意図のもと作っているし、僕たちのなかにある程度の理屈はありますが、それとは別のなにかが見る人に引き起こされてこそ面白いと思うし。これは演劇に限った話でもないと思いますが、演劇などのライブのものは特に、客席も含めて作品というかその時間だと思います。やってる側がお客さんからなにかを伝えられることもあると思うし、そういうことも込みで楽しんでいただけたらなと思います。

 

――旗揚げ公演を3カ月連続で企画した理由は

 僕もよく分からないので、若いからってごまかしてます。生き急いでるとかよく言われますけど。

 少し真面目に答えるなら、演劇をずっとやっていくということがどういうことなのか知らないと今後のことを考えようにも考えられないよなーという気持ちはあったかもしれません。

 あとはまあ3回も公演やってたら一回くらいは見に行ってやろうかなみたいな気分になりません? ならないかな。ならないかも。なってもらえるとありがたいのですけど(笑)。今回で3カ月連続公演企画も最後ですし。

 

2016年12月15日 12:30 【記事修正】 18日の公演中止に伴い、一部文言・表を修正しました。

 


この記事は、2016年12月13日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

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