東大は12月1日、研究評価に関するサンフランシスコ宣言(San Francisco Declaration on Research Assessment:DORA)に署名した。研究評価において、その内容を重視するよう提言するものとなっている。本宣言に署名するのは日本の大学として初。
東大は署名の理由として、「東京大学憲章」に研究の多様性を、「UTokyo Compass」に多様な学術の振興を掲げていることに言及。研究内容を多様な基準から評価し、また研究者が自由な観点で研究を構想できる環境を作ることを表明した。「『東京大学憲章』の冒頭に掲げる『世界の公共性に奉仕する大学』として、学術の健全で多様な発展をめざすグローバルな議論に積極的に貢献して参ります」とコメントしている。
DORAは2012年の米国細胞生物学会年次会議で起草された。①出版物の数量的指標や発表元の雑誌より、論文の科学的内容を重視すること②研究者の雇用や任期、昇進、研究費の助成を決定する際、研究論文の質をはかる手段としてインパクトファクター(学術雑誌の影響度を表す指標)などの雑誌ベースの数量的指標を用いないこと③研究評価において、研究成果の価値と影響力を、質的指標を考慮しつつ包括的に検討することなどを宣言している。
「東京大学憲章」は国立大学法人化をきっかけに東大の基本理念と目標を定めたもので、2003年に制定された。それを受け2021年に公表された「UTokyoCompass」では、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)やGX(グリーントランスフォーメーション)を含めた東大の理念について言及している。