駒場Iキャンパスの野球場で練習を積む東大軟式野球部。早稲田大学、慶應義塾大学、明治大学、立教大学、法政大学の各軟式野球部とともに東京六大学軟式野球連盟に所属している。過去には優勝も経験しているが、22年秋季リーグ戦では6位と悔しい結果に終わった。今回は、逆襲を図る23年春リーグ戦での奮闘について寄稿してもらった。(寄稿=横山秀太・東京大学運動会軟式野球部)
軟式野球部春季リーグ第7戦 vs早稲田大学(5月10日)
東大|110000010|3
早大|120000001x|4
春季リーグ第7戦の相手は早稲田大学。前回は接戦の末、引き分けている相手である。
初回、丸澤勇介(法・4年)が四球で出塁すると、すかさず盗塁を決めて無死二塁とする。その後、2死一二塁となって打席が回ってきたのは、前の試合2安打の伊勢本直哉(理I・2年)。高校時代の先輩でもある相手の先発・渡辺光から鮮やかなタイムリーヒットを放ち、幸先よく先制する。
その裏、東大の先発マウンドに上がったのは林隼介(工・3年)。先頭打者に出塁を許すと、続く打者に送りバントを決められ1死二塁。迎えた3番打者を2球で簡単に追い込んだものの、3球目が甘く入り、左中間へと運ばれる。その間に、二塁走者は一気に生還し、すぐさま同点に追いつかれる。
振り出しに戻って迎えた二回、先に勝ち越したのは東大であった。先頭打者が外野フライで倒れると、次期主将の三宅偉斗(文I・2年)に打席が回る。バッティングカウントとなって迎えた四球目、相手投手のストライクを入れにきた球を強く振り抜くと、打球は大きな弧を描いてレフト方向へ。伸びに伸びた打球はレフトポールの中段に直撃。東大は、三宅の1号ソロホームランにより、勝ち越しに成功した。
しかし、相手はそう甘くはなかった。1点の援護をもらった林だったが、この日は制球が定まらない。二回裏、四死球で2死一二塁とされ、迎えるは相手の上位打線。2球で追い込んだものの、またもや3球目が甘く入る。完璧に捉えられた打球はセンターの頭上を越えるタイムリー三塁打となり、2人の走者に生還を許した東大は逆転されてしまう。
乱打戦を予想させる序盤の展開だったが、中盤に入り試合は投手戦の様相を呈し始める。先発の林は逆転こそ許したものの、その後はヒットすら打たせない見事なピッチング。三者凡退の山を築いていく。
林の粘投に応えたい打線。そんな時に頼れるのは、やはり4番の田中直旺(工・4年)だった。野上拓朗(農・4年)がレフト前ヒットを放つと、続く杉村奎伍(理II・2年)が四球を選び、2死一二塁とする。そこで4番・田中に打席が回ると、カウントをとりにきた球を逆らわずに流し打ち。右翼手の前に打球が落ちると、二塁走者が一気に生還し、東大は同点に追いついた。
同点で迎えた九回。主将の真田恒(育・3年)が四球を選ぶと、続く打者はこの日ホームランを放っている三宅。やはり調子のいい三宅は、初球を完璧に捉えてセンターへと運び、1死一三塁のチャンスを作り出す。その後は丸澤がセンターへライナーを放ったが、不運にも相手の守備範囲。東大の攻撃は無得点に終わってしまう。
同点で迎えた九回裏、東大は先発の林に代え、安藤拓登(工・3年)をマウンドに送り出す。ここは3人で抑えて、次の回の攻撃に向けてリズムをつけたいところ。そんな期待とは裏腹に、この日は安藤も制球が定まらない。先頭打者に四球で出塁を許すと、パスボールで二塁へと進塁される。続く打者には送りバントを打たせたものの、ふわっと上がった打球は手を伸ばした安藤のグラブの上をすり抜け、サードの前へと落下。不運な形で無死一三塁とされてしまう。続く打者を申告敬遠したのち、1人を内野ゴロに打ち取ったが、それでも1死満塁。迎えた相手打者に対しては、ボールが先行する厳しい状況。そのまま四球により押し出しとなり、東大はサヨナラ負けを喫した。