東大に異色の野球部がある。駒場Ⅰキャンパスで活動する軟式野球部は、監督を最上級生の選手が兼任し、主将を最上級生の1つ下の学年の選手が務めている。大学軟式野球では学生監督も珍しくないが、それに加えて主将を下級生が務めているのはかなり珍しいと思うと同部は言う。今回は、監督の丸澤勇介(法・3年)さんによる軟式野球部の監督と主将の役割についての紹介だ。(寄稿=丸澤勇介、東京大学運動会軟式野球部)
まず、監督の役割について。一番の仕事は試合で采配を振ることである。どのような戦術でチームを勝たせるのか考えて、外野手として試合に出ながらサインを出す。慌ただしく大変なことも多いが、誰よりも野球に触れている実感があり、チームを勝利に導ける最高の仕事である。特に、ヒットを打った後に塁上からサインを出す瞬間が好きだ。
試合外においては、普段の練習メニューをどうするか各ポジションのリーダーと相談しながら決めている。さらに今の代では、部の体制強化も監督の仕事であると捉え、卒業生からの寄付や企業からの協賛などの資金面や、広報活動の促進、他部や研究室との交流などを担当の部員と連携して行っている。監督の仕事内容は代によって様々であり、それもまた面白い特徴であるが、今の代は「50年後の強い軟式野球部、その基礎となる代」を目指し、試行錯誤を重ねている。
次に主将の役割について。先頭に立って声を出しながらチームを引っ張るだけでなく、監督と選手、上級生と下級生のパイプ役として重要な役割を担う。主将の真田恒(文Ⅲ・2年)は非常に周りが見えていて、チームにとっての最善は何かを考えて行動できる頼もしい存在である。
そんな真田にいくつか質問をしてみた。
──下級生で主将をやる中で意識していることや大変なことは
上級生と下級生の間を取り持つ立場として、そのどちらに付くわけでもなく、どちらの意見も踏まえて行動するように心がけています。ただ4年生の配慮もあり、4年生と下級生はいい意味でとても距離感が近いので、主将として苦労するような問題はここまで特になく日々楽しく活動できています。
──監督が最上級生、主将が1つ下の学年という制度の目的は
主な狙いとしては、チームの運営を行うことになる4年生となった時に備えてメソッドを学ぶこと、幹部に下級生を入れることで下級生の意見を吸い上げてチーム運営の風通しを良くすることです。
──春リーグの抱負は
目標は優勝、全国大会出場です。冬の間、例年以上にチーム全体で肉体強化・基礎練習に取り組んできました。冬練の成果を存分に見せつけ、目標に向かいチーム全体で邁進していきます。
3月9日に春季リーグ戦が開幕し、優勝すれば夏の全国大会に出場できる。昨秋の最下位から下剋上での優勝を目指し、異色の野球部の挑戦が始まった。