東大など11大学で作る学術研究懇談会(RU11)は4日、大学の研究資金に関する緊急声明を発表した。緊急声明では、国立大学の教育研究プロジェクトや大学院向けの公募型事業の継続のための長期的な財政的支援を要請している。背景には、2016年度から国立大学の運営費交付金の配分が見直されることへの危惧があるとみられる。
今回の緊急声明「大学における学術研究資源を活用した基盤の戦略的強化について」は、国立大学が法人化し基盤的財源が不安定する中、短期的な重点プロジェクトが促進される状況を指摘、組織基盤の弱体化や若手研究人材育成・雇用の劣化が深刻だとした。特に留意すべきこととして▽国立大学の基盤財源としての運営費交付金の配分見直しについて▽大学院充実のための国公私立大学を通じた公募型事業について―の2点を挙げている。
規模に従い国立大学に配分されてきた運営費公費金は、昨年11月に公表された文部科学省の「国立大学改革プラン」で16年度から抜本的に見直されることが決まっている。6月には、その内容として従来の予算の最大4割が、学長のリーダーシップなどに従い重点配分されることが大手紙で報じられていた。緊急声明では、運営費交付金の一部を基盤とした教育研究プロジェクトは中長期的に支援することで大きな成果を挙げると説明した上で、配分見直しでこれを中断に追い込むことは大学改革を後退させると危惧した。
グローバルCEOプログラムや博士課程リーディングプログラムなどの大学院充実策については、恒久的な国の財政的支援を要請した。現在時限付きこれらの事業は、大学の財源で恒久化することとされてきたが、大学財源の窮迫などから財政的支援を求めている。
この記事は、2014年7月15日資格特集号からの転載です。紙面では、他にも独自の記事を掲載しています。