文化

2022年8月1日

【地域の顔 本郷編】喫茶ルオー 東大関係者に愛され続ける喫茶店

 

 駒場・本郷をはじめとする東大の各キャンパス・施設は周辺の地域に支えられている。そんな東大と共に街を作る人々を「地域の顔」として紹介する本企画。今回は本郷編として、本郷キャンパス正門から徒歩1分の喫茶店「喫茶ルオー」にお邪魔した。(取材・松崎文香)

 

東大関係者に愛され続ける喫茶店

 

 

 本郷キャンパスの正門を出て、本郷通りを渡った先にある「喫茶ルオー」。オレンジがかった電球の光に照らされたガラス戸が、行き交う人々を映す。前身である「画廊喫茶ルオー」が赤門前で開店して以来、70年にわたって東大関係者に親しまれてきた喫茶店だ。

 

赤門前で営業していた画廊喫茶ルオーの店内

 

 画廊喫茶ルオーは、画家でアートコレクターの森田賢氏が1952年に開業。店名はフランスの画家ジョルジュ・ルオーが由来だという。絵画や彫刻を展示した店内は現在の2倍ほどの広さがあり、三島由紀夫も訪れた。今も看板メニューとして愛される「セイロン風カレー」は森田氏の奥さんが考案。小麦粉を使ったイギリス風のレシピは開業当初から受け継がれている。

 

看板メニュー・セイロン風カレー

 

 80年に正門前に移転してからは、現マスターの山下淳一さんが切り盛りしてきた。机や椅子などの家具は移転前からの年代ものだが、いまだに現役だ。店内に飾られている絵画は森田氏から譲り受けたものもあれば、お客さんからの寄贈もあるという。

 

森田氏の作品 店内には多くの絵画が飾られている

 

 現在は主に、マスターの息子の栄介さんが厨房に立っている。「昔はまさにたまり場で、朝から晩まで東大生がいたそうです。学生運動の時代には、議論が白熱して店内でけんかを始める学生もいたと聞いています。当時は尖った方が多く、私が子どもの頃には東大生が全裸で来店したこともありました(笑)。そう考えると、今の店内は落ち着いていますね」。学生に頼まれて五月祭や運動部のポスターを貼ったり、入試の日には受験生と保護者のために開店時間を早めたりと、今も東大との関わりは深い。

 

2階からは東大の正門が見える

 

 コロナ禍でも休みなく営業を続けてきたが、いっときは「正月かと思うくらい、街から人がいなくなりました」。本郷キャンパスで対面授業が再開された現在は、客足が戻りつつあるという。「開業当初からキャンパス近くで営業を続けており、東大とはご縁が深いです。東大生や教職員の皆さんには、ぜひ気軽に訪れていただきたいですね」

 

マスター 山下淳一さん
マスターの息子 山下栄介さん

 

店舗情報

住所:東京都文京区本郷6丁目1−14

電話番号:03-3811-1808

営業時間:9:30~20:00(日曜・祝日定休) ※実際の営業時間は異なる場合があります

 

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