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2024年10月22日

【東京六大学野球】法大戦 2回戦では劇的サヨナラ 今季2勝目をあげ歓喜

 硬式野球部(東京六大学野球)は10月12、13日、法政大学とリーグ戦を戦い、1回戦を016で敗北、2回戦を2ー3で勝利し1勝1敗。14日に勝ち点をかけた3回戦を戦い、2ー6で惜しくも力及ばず敗北した。2回戦では劇的サヨナラで今季2勝目をあげた東大。法大相手に最後まで諦めず戦い抜き、応援席に感動を届けた。(取材・佐藤健、清水央太郎、新内智之、五十嵐崇人、高倉仁美、山口智優、宇城謙人、平井蒼冴、山本桃歌、吉野祥生)

 

1回戦 継投陣が振るわず大量失点 打線も沈黙し完封負け

 

東大|000000000|0

法大|002030101X|16

 

 連日の曇天とは打って変わり、爽やかな秋晴れの下で法政大学との1回戦が始まった。この日の先発は、慶応戦2回戦で9回を投げ切り今季初の勝利をもたらした鈴木太陽(経・4年)。序盤は走者を背負うも、安定した投球で二回までを無失点に抑えた。三回裏、2死二、三塁のピンチで迎えた相手5番・松下の打球はセンター前へ。この適時打で2点を先制される。五回にも松下に1死一、三塁から甘く入った変化球をレフトスタンドへ運ばれ、3ランホームランを浴びた。

 

先発のマウンドに登った鈴木太(撮影・高倉仁美)

 

 一方の打線は沈黙、流れをつかめなかった。相手投手・篠木の好投に二回まで三者凡退、バットは再三空を切った。四回には四球や相手の失策も絡み山口真之介(薬・4年)、内田開智(文・4年)、杉浦海大(法・3年)が出塁し走者を三塁まで進めるが、続く打者が三振に倒れ得点ならず。これ以降得点圏まで走者が進むことはなく、球場を沸かせる快音が響くことはなかった。

 

 夏も終わり、日ごとに日没が早まるこの季節。日が傾くとともに場内は日陰に支配され、東大の命運を暗示するかのごとく、神宮球場も雲に覆われ始める。

 

 六回表、打線が三者凡退に終わるとその裏、鈴木太に代わり登板したのは右腕・森岡舜之介(農・4年)。無失点で切り抜けたが、二つの四球を献上するなど不安の残る投球。

 

 七回裏のマウンドは右腕・江口直希(理Ⅰ・2年)。制球が定まらず、二つの死球と一つの四球で1死満塁と大ピンチ。たまらず東大は投手を交代、松本慎之介(理Ⅱ・1年)をマウンドに送る。しかしここでも四球を献上し、押し出しで1失点。さらに相手打者の連続適時打で5失点を喫する。

 

 この時点で点差は11点と絶望的。一刻も早く法大の攻撃を終わらせたいが、いまだアウトカウントは一つ。松本に続いて登板したのは右腕・佐伯豪栄(理Ⅱ・2年)。必死の継投でこの流れを断とうとする東大をあざ笑うかのように、相手の打球は内野手のグローブをすり抜ける。外野の頭上を越える適時打は止まらず、しまいには本塁打まで放たれ、続けざまに4失点。この回だけで計10失点と、手痛い大量失点となった。

 

悪夢の7回裏を終わらせた佐伯(撮影・高倉仁美)

 

 八回裏には右腕・前田理玖(文Ⅲ・2年)がマウンドに登るも犠飛によりダメ押しの1失点。九回表、計16点もの点差は覆すことができず、九回裏を待つことなく完封負け。法大の勢いにのまれて苦しい敗北を喫した。

 

2回戦 劇的サヨナラ じっくりつないだ勝利のバトン

 

法大|011000000|2

東大|101000001X|3

 

 前日は0ー16と手痛い敗北を喫した東大。先の雪辱を果たすべくマウンドに登ったのはアンダースローの右腕・渡辺向輝(農・3年)。初回を無失点に抑え上々の立ち上がり。その裏、先頭打者の酒井捷(経・3年)が四球で出塁すると、続く山口真も右前打を放つ。二塁に進もうとする山口真を挟殺にしようとする隙をついて酒井が生還、先制の喜びに応援席も沸く。しかし二回表、前日に本塁打を放った相手5番・松下がこの日も本塁打。あっという間に同点にされるも渡辺の好投で続く打者を打ち取る。三回表も法大の攻撃を止められず、2死一塁から相手4番・内海の適時打でさらに1点を勝ち越されるが、その裏、東大の攻撃では相手の失策も絡み1点を返し再び同点。昨日とは打って変わって激しいつばぜり合いを繰り広げる東大と法大。スコアボードには0と1が並び、勝ち越し点をもぎとれと、毎回のようにボルテージMAXの応援歌が奏でられる。

 

 空には雲間に太陽が見え隠れし、ともすれば勝てるかもしれないという淡い期待を抱く応援席。四回からは互いに無失点に抑えるという静かだが熱い試合展開。東大は次々と交代する相手投手に対応し、出塁は果たすも、勝ち越し点には至らずもどかしい。渡辺も幾度となく走者を背負い、時には満塁のピンチに陥るも、勝負強さを発揮し九回表まで無失点。回を終えるごとに窮地をしのぎ続けた渡辺をベンチメンバーは称賛。好守備を見せた守備陣、あと一歩のところで得点に至らなかったが惜しい打撃を何度も放った攻撃陣を互いにたたえ合う。チーム一体となって丁寧にじっくりと試合を運び、つないだバトンはついに最終回へ。

 

何度も窮地をしのいだ渡辺(右)をたたえる杉浦(左)(撮影・五十嵐崇人)

 

 九回裏。その表を無失点で抑え、現在同点。1点でも取ればサヨナラという状況で、この回の先頭は杉浦。安打を放ち出塁すると、続く竹山直太朗(文Ⅱ・2年)がバントをきっちり決めて杉浦を二塁へ送る。1死二塁、応援席からの大音声を背負い、打席に立ったのは門田涼平(文Ⅲ・2年)。初球、バットがひらめき、勝利への希望を乗せた打球は右中間を破る鋭いライナー。誰もが勝利を確信したその瞬間、杉浦が頭から本塁へ突っ込み、スコアボードには1Xの文字。サヨナラ勝利の雄たけびをあげ、本塁を踏んだ杉浦のもとへベンチメンバーが駆け寄る。勝利をもたらした適時打を放った門田も加わり、応援席も一体となって皆で喜びを分かち合った。今季2勝目をあげた東大、チーム全員でつないだバトンが劇的サヨナラ勝利というゴールをもたらした瞬間だった。

 

生還し吠える杉浦に駆け寄るベンチメンバー(撮影・五十嵐崇人)
チームで勝利の喜びを分かち合う(撮影・五十嵐崇人)

 

3回戦 粘りきれず後半に失点 待ちに待った勝ち点ならず

 

東大|000010001|2

法大|00001401X|6

 

 前日の劇的サヨナラ勝利の熱も冷めやらないまま、法大との勝負は3回戦にもつれ込む。先発は鈴木太、1回戦で大量失点を喫した強力な法大打線にリベンジなるか。

 

 先攻は東大。相手先発・篠木の豪速球と変幻自在の変化球を織り交ぜた投球に走者を出せずあっという間に2死。1回戦は篠木相手に三者凡退に終わった初回だが、この日は3番・中山太陽(経・3年)が三つのファウルで粘り6球目を打って出塁。打線が篠木の前に沈黙した1回戦の再演にはさせない東大、打倒法大へ向け応援席の熱も高まる。後続が安打を放てず攻撃を終えるが、その裏、鈴木太も法大打線を無失点で封じる。四回まで互いに無失点で抑える試合展開の中、再三得点圏に走者を背負いながらも法大の強力な打者たちを三振や併殺で仕留める鈴木太。勝ちへの執念を感じさせる見事な投球で場内を沸かせる。

 

四回裏、無失点に抑え笑顔でマウンドを降りる鈴木太(左)と捕手・杉浦(右)(五十嵐崇人)

 

 投手の踏ん張りに力を得た攻撃陣は五回表、鈴木太が打撃でも躍動し右前安打。続く竹山、小村旺輔(文Ⅰ・2年)もつないで1死二、三塁の大チャンス。ここで打席に立つのは酒井。ライトへの大きな打球は惜しくも相手野手が好捕、それでもこれが犠飛となり鈴木太が生還。1点先制の喜びにチームも活気づくが、容易には勝利を見させてくれない法大。直後のその裏、走者を三塁に背負うと、適時内野安打で1点を返される。しかしこれ以上の得点は許さず、鈴木太の好投で最小失点に抑える。

 

五回表、先制となる適時打を放つ酒井(撮影・五十嵐崇人)
五回裏、同点に追いつかれるも最小失点でしのぎガッツポーズの鈴木太(撮影・五十嵐崇人)

 

 続く六回表、東大は無得点。その裏では1死一、二塁となったところで鈴木太は降板、代わって右腕・平田康二郎(育・4年)がマウンドに登った。鈴木太をたたえ、平田を後押しする声援。しかし直後、平田がいきなり適時打を許し、続く打者からも2本の適時打を浴びてこの回で一挙に4失点。平田の顔には苦しい表情が浮かぶ。巻き返したい東大だが、七回、八回と篠木や継投した吉鶴相手に点差を詰められず。八回の裏には犠飛で追加点を許し、点差を5点に広げられる。

 

七回表、チャンスで打席に立つも篠木相手に三振に倒れた中山は悔しさをにじませる(撮影・五十嵐崇人)

 

 九回表、この回の攻撃で追いつかなければ敗北が決まってしまう大事な場面。代打・府川涼太郎(文・4年)への頭部死球に球場全体が静まり返る。劣勢の中で動揺しかねない状況。それでも、選手たちの目に宿る逆転への希望の光は決してついえることはない。途中出場の青貝尚柾(育・3年)、大原海輝(文・3年)は打ち取られるも、走者を進めて迎えた2死二塁。このチャンスで打席に立つのは先制の犠飛を放った酒井。2ストライクに追い込まれるも5球目、勝利への執念からライトへの適時打を放ち、1点を返し望みをつなぐ。やはり酒井はやってくれる、なおも上位打線から追撃が続くかと思われたが、後続の山口真が三振で倒れゲームセット。強力な法大打線に食らいつくも、最後には粘りきれず力負けとなった。

 

逆転を願い前のめりに打者を応援するベンチ(撮影・平井蒼冴)

 

 今季2勝目をあげた東大。2回戦で完投した渡辺やサヨナラ適時打を放った門田など2、3年生の活躍もめざましく、来春への期待は膨らむばかりだ。

 

2回戦で粘りの投球を見せ、完投勝利をつかんだ渡辺(撮影・五十嵐崇人)
2回戦で決勝打を放った門田、法政戦では計5安打の活躍(撮影・高倉仁美)

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